前回の上高地前編では、大正池から河童橋を経て上高地帝国ホテルへ向かうコースと、名門「上高地帝国ホテル」での滞在の様子をご紹介しました。さらに翌日は、帝国ホテルから河童橋を経由し、梓川の「左岸」を進んで明神橋・明神池へ向かう片道約3.5〜4.8kmのルートについても取り上げました。

後編では、3日の午後に明神池を見学した後、昼食をはさんで梓川の「右岸」を進み、河童橋を渡って帝国ホテルへ戻るハイキングの様子をご紹介します。午後からは雨が強まり、厳しい状況となりました。
また、2日目の帝国ホテルでの食事の内容や、翌日に予定している国宝・旧開智学校の見学、松本城の外観見学についても中心にお伝えします。
本記事では、9月3日の明神池からホテルまでの過酷なハイキングと、翌4日に松本でぜひ訪れたい名所について、日程に沿って具体的にご紹介します。

ハイキング2日目後半
この日は午後になって急激に天気が崩れました。天気予報どおり、正午過ぎから本格的な雨となり、ポンチョだけでは心もとなく、傘も差して歩くことに。それでもトレッキングシューズにも雨水が入り込むようになってしまいました。
雨の中の明神池
明神池は、穂高連峰の主峰・明神岳の懐に抱かれた神秘的な池で、穂高神社奥宮の神域内にあります(拝観料500円)。明神岳の伏流水が常に湧き出しているため透明度が高く、冬でも全面結氷しないといわれています。
主な特徴と見どころ
大小2つの池からなり、それぞれ異なる表情が見どころです。
- 一之池:広々とした池で、水面にそびえる明神岳や周囲の木々が美しく映り込む、開放的な絶景が広がります。

- 二之池:点在する巨岩や立ち枯れの木、笹が調和し、天然の日本庭園を思わせる幽玄で静謐な佇まいです。


桟橋の先端から眺める水鏡の景色は圧巻です。参拝後は池畔の嘉門次小屋で、名物のイワナの塩焼きやイワナそばを味わうのも定番の楽しみ方。私たちも雨で冷え込んだため、イワナそばをいただくことにしました。
雨にかすむ梓川右岸コース
梓川右岸コース(約3.5km/徒歩約70分)は、木道や緩やかな起伏が多く、変化に富んだ自然を満喫できるルートです。
主な特徴と見どころ
- 豊かな原生林と静けさ:平坦な左岸に比べて人通りが少なく、イチイやシラカバが茂る森や苔むした木立など、奥深い自然散策を楽しめます。
- 岳沢湿原:立ち枯れの木々と抜群の透明度を誇る湧水が織りなす絶景スポットです。展望デッキからは六百山などの雄大な山並みが望めます。

- 清流を渡る木道:山から梓川へ注ぐ小川や湿地の上に木道が整備されており、せせらぎを聞きながら心地よい水辺の散策が楽しめます。


行きと帰りで左岸・右岸を歩き分けるのが定番です。今回も行きは左岸、帰りは右岸を歩きましたが、帰りは雨がひどく、景色を楽しむ余裕があまりありませんでしたね。
2日目の帝国ホテル
ホテルに到着したときは、大雨の影響でずぶ濡れでした。傘を差し、ポンチョも着ていたのですが、ポンチョから出ている下半身とトレッキングシューズは特に濡れがひどく、部屋に入ってから乾かすまでかなり時間がかかりました。

それでも、翌日には影響が出ない程度まで乾かすことができ、快適に過ごせました。
今夜のディナーは日本料理あずさ庵で懐石料理をいただき、「あずさ懐石」を選びました。どのお料理も美味しかったのですが、デザート前の一品は松茸炊き込みご飯と信州そば天婦羅添えの選択制で、夫婦それぞれ別のものを選び、一部をシェアして楽しみました。

翌日の朝食は、ダイニングルームで長野県の食材をふんだんに取り入れた「アメリカン ブレックファスト」をいただきました。朝食は、質の高いものを少しずつ多種類楽しみたい派なので、バイキング形式ではない点は少し残念に感じました。

最終日の松本市内名所観光
この日は朝10時に上高地を出発し、松本市内を観光することにしました。天気も回復し、時折日が差していました。最初に旧開智学校を見学し、昼食後松本城を見学することにしました。
国宝・旧開智学校
国宝・旧開智学校は、長野県松本市にある、明治9年(1876年)竣工の擬洋風校舎です。2019年には、近代学校建築として日本で初めて国宝に指定されました。
旧開智学校は1873年に開校し、現校舎は地元大工棟梁・立石清重が、東京や横浜の洋風建築を研究して設計・施工しました。約90年間にわたり実際に学校として使用されたのち、現在は松本市立博物館の分館として公開されています。

見どころ
- 擬洋風建築の傑作: 和風の唐破風屋根と洋風の八角塔屋が融合した外観が特徴で、文明開化を象徴する建造物です。
- 精巧な彫刻: 正面玄関の龍、露台の瑞雲、屋根の天使レリーフなど、細部にまで職人技が光ります。
- 白亜の漆喰壁と縦長窓: 西洋風を模倣しつつ日本独自の意匠が施されており、当時の教育への熱意が感じられます。
松本城から徒歩約5分。開館時間は9:00〜17:00(最終入館16:30)で、観覧料は一般700円、小中学生300円です。耐震保存工事を経て2024年から通常公開されており、内部の教室空間や教育資料も見学できます。

名城松本城
国宝・松本城は、長野県松本市にある平城(平地に築かれた城)で、1504年(永正元年)に前身の深志城が築かれました。現在の大天守は、1593〜94年(文禄2〜3年)に石川数正・康長父子によって築造されたとされています。
外観の特徴
黒漆塗りの壁と白漆喰のコントラストが美しく、「烏城(からすじょう)」の異名を持ちます。天守は5重6階の連結複合式で、現存する五重天守としては日本最古です。黒漆は毎年9〜10月に塗り直され、優美な姿が保たれています。

見どころ
- 天守内部: 1階には厚さ約29cmの壁(火縄銃の弾も貫通しない)を展示。2階の武者窓(3連・5連の格子窓)は、防御のための設計です。
- 月見櫓・辰巳附櫓: 1633年頃に松平直政が追加した櫓で、城の美観と機能性を高めています。
- 黒門・太鼓門: 本丸への重要な門で、太鼓門の石垣には巨大な「玄蕃石」があります。
JR松本駅から徒歩約15分。開場時間は8:30〜17:00(最終入場16:30)、観覧料は大人1,200円(電子券)です。

帰りの電車が15時50分発のあずさ44号だったため、城内は非常に混雑しており、見学は外観のみにとどめました。名城はこれまでほとんど訪れてきましたが、未訪だった松本城をようやく見られたことは、良い思い出になりました。
最後に
上高地は、昔訪れたときとは少し違った印象を受けましたが、シニア世代が訪れたくなる素晴らしい自然と、整備されたハイキング環境がそろっている点は、今も変わりません。
登山やハイキングは天候に大きく左右されます。晴れの日が最高なのはもちろんですが、雨の中で厳しい状況を経験したとしても、その分、さまざまな思い出が残るものです。

今回は晴天の時間帯が多かった一方で、雨に見舞われた時間もありました。どちらも含めて、とても貴重な体験になりましたね。
若い頃は那須岳や筑波山、鋸山など、軽登山を中心に楽しんでいました。シニア世代になり、年齢とともに尾瀬や釧路湿原、今回の上高地など、ハイキングの割合が増えています。今後は大原・嵐山の紅葉巡りなど、紅葉狩りも楽しみたいと考えています。
こうしたハイキングなどのウォーキングが、シニア世代の生きがいと健康づくりに寄与することを、心から願っています。
《参考情報》




