健康生活ガイド(足の梗塞編)

Uncategorized

心筋梗塞や脳梗塞はよく知られていますが、実は同じ「動脈硬化」によって、足の血管(動脈)が狭くなったり詰まったりする病気もあります。

加齢により血管が硬くなり、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙歴があると、足の血流は低下しやすくなります。冷えやしびれ、歩くとふくらはぎが痛むが休むと楽になる、皮膚や爪の変化、傷が治りにくいなどがサインです。

「年のせい」と思い込みやすいのですが、血流不足が原因の場合、放置すると悪化して歩けなくなることや、潰瘍・壊疽につながることがあります。

さらに重要なのは、足の血管が詰まりかけている状態が、心臓や脳の血管でも動脈硬化が進んでいるサインになり得る点です。だからこそ、足の小さな違和感を「体からの警告」と捉え、早めに気づくことが大切です。

本記事では、シニア世代の皆様がご自身の足で長く元気に歩き続けられるよう、いわゆる「足の梗塞」と呼ばれるこの病気について、病気の正体から予防、治療法までを分かりやすく解説します。

病気の正体:下肢閉塞性動脈硬化症(PDA)とは?

この病気の正式名称は「下肢閉塞性動脈硬化症(PDA)」で、全身の病気としては「末梢動脈疾患」とも呼ばれます。加齢や長年の生活習慣の積み重ねによって血管が硬く狭くなる「動脈硬化」が、足の血管(動脈)で起こる病気です。

足の血管が狭くなったり詰まったりすると、足先まで血液にのった酸素や栄養が十分に届かなくなります。心臓の血管が詰まれば「心筋梗塞」、脳の血管が詰まれば「脳梗塞」になりますが、それと同じことが足で起きている状態だとお考えください。

シニア世代は高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールなど)といった基礎疾患を抱えている方が多く、これらが動脈硬化を加速させるため、発症リスクが高くなります。

見逃してはいけない4つのサイン(進行度合い)

この病気はゆっくり進行し、症状は主に4段階で悪化します。ご自身の足に当てはまるものがないか、ぜひ確認してみてください。

第1度(軽症)【冷感・しびれ】

足への血流が悪くなるため、夏場など温かい環境でも足先が冷たく感じたり、しびれたり、だるさを感じたりします。この段階では、通常どおり歩けます。

第2度(中等症)【間欠性跛行(かんけつせいはこう)】

この病気の最も特徴的なサインです。一定の距離を歩くと、ふくらはぎなどがつっぱるように痛んだり、重だるくなったりして歩けなくなります。数分立ち止まって休むと痛みが消え、また歩けるようになるのが特徴です。

第3度(重症)【安静時疼痛】

じっとしていても、また夜に布団へ入って寝ていても、足がじんじんと痛むようになります。眠れないほどの痛みになることもあります。ベッドから足を下に垂らすと血流が少し良くなって痛みが和らぐため、足を下げて寝る姿勢をとる方もいらっしゃいます。

第4度(最重症)【潰瘍・壊死(えし)】

血液が決定的に不足し、靴擦れなどの小さな傷が治らず、潰瘍(ただれ)になったり、組織が死んで黒く変色(壊疽)したりします。最悪の場合、命を守るために足を切断しなければならないこともあります。

注意点として、上記のようにゆっくり進行する慢性的なタイプとは別に、突然血栓が詰まる「急性下肢動脈閉塞」というタイプもあります。

ある日突然、激しい足の痛みや冷え、しびれ、力が入らないといった症状が出た場合は、数時間で足の機能や命を失う危険があるため、すぐに救急車を呼ぶなどの対応が必要です。

本当に怖いのは「足」だけではない理由

この病気で本当に怖いのは、足そのものの症状だけではありません。足の血管が動脈硬化で詰まっていることは、全身の血管でも同様に動脈硬化が進んでいるという「危険を知らせるサイン」でもあります。

実際、この病気の方の多くは、足そのものが原因ではなく、心筋梗塞や脳梗塞などの心臓・脳の病気で亡くなるケースが多いことが分かっています。足の症状をきっかけに、全身の血管管理を始めることが極めて重要です。

負担の少ない検査と治療法

「病院に行くと痛い検査をされるのでは…」と心配する必要はありません。病院(循環器内科や血管外科など)では、まず「ABI検査」という簡単な検査を行います。両手と両足首の血圧を同時に測るだけで、痛みはなく、10〜15分ほどで結果が出ます。

ABI の評価方法|測り方・見方・ PAD を疑う目安
ABI の基本を PT / OT / ST 向けに整理。測り方、見方、 PAD を疑う所見、 ABI > 1.40 や正常でも症状がある場合の次の一手まで分かりやすく解説します。

治療も、症状の段階に合わせて次のような方法があります。

内科的治療と運動療法(すべての基本)

血液をサラサラにする薬や血管を広げる薬を用いながら、血圧や血糖値などの基礎疾患を管理します。また、意外かもしれませんが「歩くこと」も立派な治療です。

「歩くと痛いから」と歩かないでいるのは逆効果で、痛くなる手前まで歩いて休むことを繰り返すと、詰まった血管を迂回する新しい血管(側副血行路)が育ち、症状の改善につながります。

カテーテル治療

薬や運動で改善しない場合は、手首や足の付け根から細い管(カテーテル)を入れ、風船や金属の網(ステント)で血管を内側から広げます。体への負担が少なく、シニア世代にも適しており、数日の入院で済みます。

バイパス手術・遺伝子治療

重症の場合は、ご自身の静脈や人工血管で新しい血液の通り道を作る手術を行います。さらに最新の医療では、手術が難しい方に向けて、新しい血管ができるよう促す遺伝子治療薬(コラテジェン)という選択肢も登場しています。

毎日の生活でできる予防と「フットケア」

進行を防ぎ、健康な足を保つためには、日々の心がけが大切です。

絶対に禁煙を

タバコは血管を収縮させ、動脈硬化を急速に悪化させる大きな要因です。「今からやめても遅い」ということはなく、禁煙したその日から血管への負担は減り始めます。

生活習慣病の徹底管理

動物性脂肪や塩分を控え、野菜中心の食事を心がけましょう。血圧・血糖値・コレステロールをしっかり管理してください。

足を守る「フットケア」

血流が悪い足は、バリア機能や治癒力が大きく低下しています。足が冷たいからと、湯たんぽやカイロを直接当てると、感覚が鈍っているため、気づかないうちに重症の「低温やけど」を起こす危険があります。

また、深爪や靴擦れなどの小さな傷から細菌が入り、壊疽につながることもあります。毎日足を洗ってよく乾かし、傷や変色がないか観察することが大切です。タコや魚の目も自己処理は避け、必ず医師にご相談ください。

最後に

シニア世代に多い「足の梗塞(PAD)」は、足の血流不足によって起こる動脈硬化性疾患です。

「歩くと足が痛いが、休むと楽になる」「足が冷たい・しびれる」。こうした症状を「ただの年のせい」と自己判断して放置することが、最も危険です。足からのSOSは、全身の血管からのSOSでもあります。

いつまでもご自身の足で元気に歩き続け、豊かな毎日を送るために、気になる症状があれば、迷わずお近くの循環器内科や血管外科を受診してください。早期発見と早期治療が、元気な足を守る最大の秘訣です。

PADは早期発見・早期治療により、進行を大きく抑えられる病気です。「年齢のせい」と決めつけず、足の違和感に気づいたら早めに医療機関へ相談することが、健康寿命を守る大切な第一歩になります。

《 参考情報 》

“足梗塞”;末梢動脈疾患(PAD/閉塞性動脈硬化症)とは? | はらだメディカルクリニック
〜足のしびれ・冷え・歩くと痛いは要注意〜 2026年4月9日に放映されたNHK「あしたが変わるトリセツショー;
健康生活ガイド(脳梗塞編)
脳梗塞とは、血栓(血の塊)が脳の血管を詰まらせることで、脳の血管や脳細胞に障害を引き起こす病気です。この病気は、血流が遮断されることで脳の一部が酸素不足に陥り、ダメージを受けることによって発生します。特に夏は汗をたくさんかくため、脱水状態に...
健康生活ガイド(心筋梗塞編)
連日の猛暑が続く中、皆様はいかがお過ごしでしょうか。体調管理には十分ご注意いただいていますか。夏季は熱中症のリスクだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重大な疾患の発症リスクも大きく高まる時期です。脳梗塞については、以前のブログ記事...

タイトルとURLをコピーしました