2025 シニアドライバーが知っておくべきこと
70歳以上の方は、運転免許の更新時に高齢者講習の受講が法律で義務付けられています。この講習を受講しないと、免許の更新手続きができません。75歳以上の方は、さらに詳細な認知機能検査も必須となっており、安全運転の確保がより重視されています。

私も今年、運転免許の更新時期を迎え、高齢者講習を受講することになりました。
運転免許は私たちの生活に欠かせない資格であり、重要な移動手段です。しかし、加齢に伴い、運転に必要な認知能力、判断力、身体機能が自然と変化していきます。このような変化に適切に対応し、高齢ドライバーの皆様が安全・安心に運転を続けられるよう、「高齢者講習」制度が設けられています。
この制度は、70歳以上のすべてのドライバーに運転免許更新時の受講を義務付けています。本記事では、実際私が受講した高齢者講習について、その目的、対象者、講習内容、受講手続き、そして制度の重要性を分かりやすく解説します。
高齢者講習の目的と意義
高齢者講習の最大の目的は、高齢ドライバーが自身の身体能力や運転能力の変化を自覚し、安全運転を継続するための知識と技能を再確認することです。
- 交通事故防止:高齢ドライバーの交通事故削減を目指しています。
- 安全意識の向上:加齢に伴う変化を理解し、危険予測能力を高めます。
- 適切な運転習慣の再確認:最新の交通ルールと安全運転の知識を更新します。
- 運転免許の自主返納の検討機会:自身の運転能力を客観的に評価し、必要に応じて免許の自主返納を検討する機会となります。

この講習は「運転をやめさせる」ためではなく、「安全な運転を続けるための支援」であることを理解する必要がありますね。
講習対象者
高齢者講習の対象者は、運転免許証の更新期間満了日における年齢が満70歳以上の方です。
- 70歳以上75歳未満の方:「高齢者講習」を受講する必要があります。
- 75歳以上の方:「認知機能検査」および「高齢者講習」の両方の受講が必要です。
受講までの流れ
運転免許証の更新期間が近づくと、公安委員会(多くは運転免許センター)から「高齢者講習のお知らせ」のハガキが届きます。このハガキを受け取ったら、以下の手順で講習の予約と受講を進めましょう。
- お知らせの確認: 運転免許証の更新期間満了日の約6ヶ月前までに、自宅にハガキが届きます。講習の対象者であることと、必要な手続き書類が記載されています。
- 講習実施機関の確認: ハガキに記載された自動車教習所などの実施機関から、受講場所を選びます。
- 講習の予約: ハガキを受け取ったら、すぐに実施機関へ電話で予約を入れましょう。更新期限が近づくと混み合いますので、早めの予約をお勧めします。
- 講習の受講: 予約した日時に指定の場所で講習を受講します。
高齢者講習の内容
高齢者講習の内容について説明します。講習時間は2時間で、基本的に全受講者共通です。ただし、75歳以上の方は加齢による認知機能や身体機能の変化をより慎重に評価するため、「認知機能検査」が加わるなど、一部の検査項目や実施方法が異なります。以下が具体的な講習内容です。
座学(双方向性講義30分)
- 加齢による身体機能の変化(視覚、聴覚、認知能力、反応速度など)の運転への影響を学びます。
- 交通事故の発生状況と、高齢ドライバーが起こしやすい事故の特徴について学習します。
- 最新の交通ルール(特に改正部分や高齢者への注意点)を確認します。
- 安全運転に必要な注意点、状況判断力、危険予測能力などについて質問されます。
視力検査(適性検査30分)
動態視力、静止視力、夜間視力、水平視野の4項目を検査します。これにより加齢による視覚機能の変化を実感し、より安全な運転につなげます。
実車講習(技能講習1時間)
- 実車検査では、走行速度の管理、一時停止の確実な実施、信号の確認、段差の乗り上げなどの運転適性を確認します。
- 教官から個々の運転特性や具体的な改善点についてアドバイスを受けます。
高齢者講習費用
費用は実施機関や都道府県により異なり、6,600円から10,000円程度です。最も安価なのは鮫洲運転免許試験場と府中運転免許試験場で、6,600円です。ただし、多くの方は住居近くの民間「指定自動車教習所」で受講することになり、この場合は8,000円~10,000円程度となります。
なお、75歳以上の方は、講習受講前に「認知機能検査」が必須です。この検査は、加齢に伴う認知機能の変化を評価し、安全運転の継続可能性を判断するための重要な手続きです。また、一定の道路交通法違反歴のある方には、実践的な「運転技能検査」が追加され、運転能力をより詳しく確認します。これらの検査や講習の具体的な内容と手順については、別の記事で解説します。
講習後の手続きと免許更新手数料
高齢者講習修了後、「高齢者講習修了証明書」が交付されます。この修了証明書と必要書類(免許証、更新通知ハガキ、写真など)を持参し、運転免許センターまたは警察署で免許更新手続きを行います。2025年3月24日から、運転免許証とマイナンバーカードの一体化が始まり、3つの保有形態が選べ、更新手数料は以下のとおりです。
- 従来の運転免許証のみ 2,850円
- マイナ免許証のみ 2,100円
- マイナ免許証と従来の運転免許証の両方(2枚持ち) 2,950円
高齢者講習の重要性と心構え
高齢者講習は、単なる手続きではなく、自身の運転を振り返り、安全な運転生活を続けていくための貴重な機会です。
- 自己分析の機会: 加齢による身体機能の変化は避けられません。講習を通じて、自身の反応速度や視覚、認知能力の変化を客観的に把握し、無理のない運転につなげましょう。
- プロのアドバイス: 教官からの専門的なアドバイスは、安全運転のための貴重な指針となります。これを謙虚に受け止め、日々の運転に活かすことが大切です。
- 家族との対話: 講習の内容や運転能力について、家族と率直に話し合うことが重要です。家族からの客観的な意見やサポートにより、より安全な運転環境を築けます。
- 免許の自主返納も選択肢に: 講習や普段の運転で不安を感じたり、家族から心配される場合は、免許の自主返納も検討すべき選択肢です。自治体では、自主返納者向けの支援策(公共交通機関の割引など)も設けられています。
最後に
高齢者講習は、70歳以上のドライバーが安全に運転を続けるための包括的なサポートシステムです。一見面倒な手続きに思えますが、この講習は自身の安全だけでなく、歩行者や他のドライバーの命を守る重要な社会的役割を担っています。
この講習では、運転能力を客観的に評価し、必要に応じて運転スタイルを見直す貴重な機会が得られます。お知らせハガキが届いたら、早めに予約を入れ、真摯な姿勢で講習に臨みましょう。加齢に伴う身体機能の変化を理解し、それに応じた運転方法を学ぶことで、より安全な運転を継続できます。
運転に不安を感じる場合は、無理をせずに家族や専門家と相談し、運転継続か自主返納かを慎重に検討することが大切です。この判断は、すべての道路利用者の安全につながります。

高齢になるにつれ、視力、運動能力、認知能力には個人差が大きくなります。自身の能力を過大評価することなく、健康状態と現状を正しく把握し、日々安全運転を心がけることが最も重要ですね。
【 参考情報 】

