AIが「身体」を持つ時代へ——2026年に訪れる劇的な変化とは
近年、「生成AI(ChatGPTなど)」という言葉を耳にしない日はありません。ニュースやメディアで頻繁に取り上げられ、多くの人がその存在を認識するようになりました。これまでAI(人工知能)は、主にパソコンやスマートフォンの画面の中で活動する存在でした。
文章を書く、絵を描く、質問に答える——デジタル空間でさまざまな作業を行ってきました。しかし今、AI技術は次の段階へと大きく踏み出そうとしています。歴史的な転換点を迎えつつあるのです。
その新しい段階が「フィジカルAI」です。AIが実際に身体を持ち、現実世界で動く技術を指します。東京大学の松尾豊教授をはじめとする専門家たちは、2026年頃にAIの勢力図と日常生活が劇的に変わる可能性が高いと予測しています。
ここでは、シニア世代の皆様の日々の生活や、これからの日本の未来に深く関わる重要なポイントに焦点を絞ります。「フィジカルAI」という新しい技術と「2026年に起こると予測される大きな変化」について、できるだけ分かりやすく解説していきます。
「画面の中」から「現実世界」へ
これまでのAIは、インターネット上のデータ(言葉や画像)を学習してきました。しかし、「フィジカルAI」は違います。ロボットや自動車という「身体」を通じて、物理世界を理解し、行動します。
従来のロボットは、「ここで止まりなさい」「右に曲がりなさい」と、人間が細かくプログラムで指示しなければ動けませんでした。しかし、最新のAIは異なります。「部屋を片付けて」「ヘルシーな食べ物を持ってきて」といった曖昧な言葉での指示を理解し、自ら考えて行動できるようになっています。
これを可能にしたのが「生成AI」の進化です。AIが言葉の意味を深く理解できるようになったため、人間のように「片付けるとはどういうことか」を判断し、手足を動かす制御ができるようになりました。
暮らしはどう変わる?(自動運転とロボット)
私たちの生活には、具体的にどのような変化が訪れるのでしょうか。
自動車は「乗れるロボット」へ
フィジカルAIの最も身近な例が自動車です。単なる移動手段から、高度なAIを搭載した「動くリビング」や「乗れるロボット」へと進化しています。

特に注目されているのが自動運転です。AIが周囲の状況(人や障害物、天気など)を瞬時に判断し、運転を担当してくれます。免許を返納した後も、好きな時に好きな場所へ行ける自由が確保される——そんな未来が期待されています。
ソニーとホンダが共同開発している「AFEELA(アフィーラ)」のような新型車も登場し、車内でゲームや映画を楽しみながら移動するスタイルが提案されています。
家事をしてくれるロボットの登場
かつてSF映画の中だけの話だった「お手伝いロボット」が、現実になりつつあります。洗濯物を畳む、料理を運ぶといった家庭用ロボットの開発が急速に進んでおり、アメリカでは2026年頃から家庭に普及し始めると予想されています。

シニア世代にとっても、重い荷物を持ったり、介護を助けてくれたりする心強いパートナーになる可能性がありますね。
スマートフォンから「メガネ」へ
現在、誰もが持っているスマートフォンですが、将来的には「スマートグラス(メガネ型端末)」に取って代わられるかもしれません。メガネにAIが搭載され、見たものを翻訳したり、道案内をしてくれたりするようになります。

AIアシスタントが常に耳元でサポートしてくれる——そんな時代がすぐそこまで来ています。ただし、メガネを好まない方も多いため、それほど普及しない可能性もありますね。
※ この内容をわかりやすくまとめたインフォグラフィックは、以下のとおりです。

なぜ今、急速に進化しているのか?
ロボットが急に賢くなった理由には、2つの技術的なブレイクスルーがあります。
「世界モデル」の登場
AIが現実世界で失敗しないよう、「頭の中でシミュレーションする能力」が飛躍的に向上しました。これを「世界モデル」と呼びます。 「コップを落としたら割れる」「氷の上は滑る」といった物理法則をAIが理解し、仮想空間で何万回も練習してから現実世界で動くため、学習スピードが劇的に速くなったのです。
半導体の進化(NVIDIAの存在)
AIの計算を支える「半導体」の進化も欠かせません。この分野で圧倒的な強さを誇るのが、アメリカのNVIDIA(エヌビディア)という企業です。単なる部品メーカーではなく、ロボットや自動運転車を開発するための「頭脳」や「練習場(シミュレーション環境)」を一括で提供し、世界の開発競争をリードしています。
日本の「ものづくり」に勝機あり
AI開発というとアメリカや中国が先行しているイメージがありますが、日本には大きなチャンスが残されています。
「ものづくり」の力
AI(ソフトウェア)がいくら賢くても、現実世界で動くには精密な「身体(ハードウェア)」が必要です。日本には、ファナックや安川電機のような産業用ロボット、そしてトヨタやホンダのような自動車製造の長い歴史と高い技術があります。 「賢いAI」を「丈夫で精密な日本のロボット」に搭載することで、日本が再び世界をリードできる可能性があります。
事 例
ソニーの技術者はプレイステーションの半導体開発の経験を活かし、消費電力を劇的に抑える新しいAI半導体の開発に挑んでいます。また、日立プラントサービスのように、熟練の職人の技をAIとデジタル技術で継承し、現場の若手を支援する取り組みも始まっています。 現場の知恵(OT領域)を持っていることが、日本の強みとなる可能性が高いです。
この記事の内容をわかりやすくまとめた動画もご用意しています。ぜひ併せてご覧ください。

課題と展望
AIやロボットを動かすには、膨大な電力と水資源が必要です。また、AI開発には巨額の投資が求められ、日本企業がどう競争していくかも重要な課題となります。
しかし、少子高齢化が進む日本において、人手不足を補うロボットやAIは「脅威」ではなく「救世主」になり得ます。工場、建設現場、家庭内での介護や家事——これらをAIロボットが担うことで、人間はより人間らしい活動に時間を使えるようになるでしょう。
おわりに:楽しみに待つ未来
2026年に向けて、AI技術は自動運転車やロボットなど、私たちの目に見える具体的な形となって日常生活に登場します。
「なんだか難しそうで怖い」「自分には理解できないかもしれない」と感じる方もいるかもしれません。しかし多くの専門家は、「AIは人間を置き換えるものではなく、サポートしてくれる頼もしい存在になる」と前向きな展望を描いています。
- 車が自動で安全に目的地まで連れて行ってくれる。
- 家事や介護を手伝ってくれるロボットが家庭に来る。
- 日本の「ものづくり」技術が、再び世界で輝くチャンスが訪れている。
このように前向きに捉えると、これから訪れる技術の進歩や社会の変化が、少し楽しみに感じられるのではないでしょうか。変化を必要以上に恐れず、新しい技術がもたらす生活の豊かさや便利さに注目することが、これからの時代を前向きに楽しく生きる秘訣なのかもしれません。
《 参考情報 》



