2026年のシニア世代の投資戦略は、「資産を減らさず、守りながら賢く活かす」という堅実で合理的なものです。
これまでの「ただ資産の増やす」という戦略から、「インフレ(物価上昇)から資産を守り、賢く使いながら人生を豊かにする」という新しいステージへと移行します。
「基本は預金」という考え方から一歩踏み出し、インフレに負けないための「攻め」と、精神的な平穏を保つための「守り」をどう両立させるかが鍵となります。

日本人の平均金融資産は、金融広報中央委員会の統計データによると、60代、その次に70代が多くの金融資産の所有していますね。
本記事では、比較的余裕資金を持つシニアの方が、2026年を安心して歩むための投資戦略を、順を追って解説します。
この記事の内容をわかりやすくまとめた動画もご用意しています。ぜひ併せてご覧ください。

基本理念:インフレに負けない「強い守り」
2026年の日本は、「デフレマインドからの完全脱却」が最大のテーマです。物価が上がる局面では、現金の価値が相対的に目減りします。ただ銀行に預けているだけでは、実質的に資産が減るのと同じことになります。
シニア世代の戦略の核心は、資産を爆発的に増やすこと(キャピタルゲイン)ではなく、「資産の価値を目減りさせないこと(インフレヘッジ)」にあります。
- 目標リターンの目安:年率3〜4%(インフレ率+α)
- 基本姿勢:「勝ち続ける」ことよりも、「致命傷を負わない」設計を最優先します。
- 日本株:企業改革や賃金上昇で底堅い推移が見込まれますが、不測のショックへの脆弱性も残ります。特定銘柄への集中投資を避け、複数資産への分散が重要です。
投資環境をどう見るか
2026年の世界経済は、AI関連の需要や技術革新による成長が見込まれる一方、地政学リスクの常態化や需要回復に伴うインフレ再燃のリスクも意識される時期です。日本でも「金利のある世界」が当たり前になり、緩やかな物価上昇が続く見通しです。
かつてのデフレ時代は「現金が一番」でしたが、物価が上がると、銀行に預けているだけでは現金の価値は目減りしてしまいます。つまり、「運用しないこと自体が、資産を減らすリスク」になる時代です。
安心を生む「二階建て」の資産配分
シニアの投資で大切なのは、夜ぐっすり眠れる安心感です。資産を以下の「二階建て」で考えると整理しやすくなります。
一階:安全資産(守り)
生活費の2〜3年分は、値動きの小さい現預金や個人向け国債で確保します。
- 個人向け国債(変動10年):日本の金利が正常化に向かう中、元本割れがなく、銀行預金より利回りが期待できる「安全資産の王様」です。
- 現金:相場急落時の追加投資や、急な医療・介護費への備えとして、資産の20〜40%程度を確保しましょう。

健康状態にもよりますが、70歳以降は徐々に国債や現金の比率を高めていく必要がありますね。
二階:運用資産(攻め)
安全資産を除いた「余裕資金」で、インフレに負けない運用を行います。
- 株式・投資信託:資産の10〜40%を目安にします。世界経済の成長を取り込む「全世界株式」や、安定した配当を出す「日本の大型高配当株」が中心です。
- 債券・債券型投信:資産の20〜30%を組み入れます。株式よりも値動きが穏やかで、定期的な利息収入源としてポートフォリオの安定に寄与します。
新NISAと「プラチナNISA」の賢い活用術
2026年には、非課税制度を積極的に活用することが、シニア世代にとっての「スタンダードな投資手法」として広く定着するでしょう。

新NISA
つみたて投資枠では「全世界株式」などの投資信託を、成長投資枠では「高配当株」や「債券ファンド」を購入し、利益を非課税にします。
プラチナNISA
2026年度からの創設が検討されている、65歳以上を対象とした新制度です。毎月分配型投資信託などが対象に含まれる方向で議論されており、「年金に上乗せする毎月のお小遣い」を非課税で受け取れる仕組みとして期待されています。

これらの制度を使い、「配当や分配金を受け取りながら、ゆっくり取り崩す」設計にすることで、無理のない資産寿命の延命が可能になりますね。
鉄の掟と出口戦略
避けるべき「3つの落とし穴」
余裕資金があるシニアは金融機関のターゲットになりやすいため、以下の「鉄の掟」を守ってください。
- 複雑な商品には手を出さない:「仕組み債」や「外貨建て保険」など、手数料が高くリスクが見えにくいものは避けましょう。「高利回り」という言葉には必ず裏があります。
- 流行りのテーマに飛びつかない:「AI」や「ロボット」といったテーマ型投信は避けましょう。流行が去った後の下落が激しく、シニアの長期保有には不向きです。
- 頻繁な売り買いをしない:判断疲れを起こすだけでなく、手数料で資産が削られます。「一度買ったら持ち続ける(バイ・アンド・ホールド)」が基本です。
※ この内容をわかりやすくまとめたインフォグラフィックは、以下のとおりです。

人生を豊かにするための「使い時」
投資の目的は「死ぬ時に一番お金持ちになること」ではありません。
- 定率取り崩し:「毎年、資産残高の4%を取り崩す」といったルールを決め、計画的に資産を使います。
- 「思い出」への配当:運用で得た利益の一部は、旅行、食事、趣味など、自分や家族の「体験」に積極的に使います。これこそが投資の本来の目的です。

AIを「相談相手」として活用することも有効です。決算資料の要約やポートフォリオの客観的なチェックをAIに手伝わせることで、感情に流されない冷静な判断が可能になりますね。

最後に:シンプルこそが最強の戦略
余裕資金のあるシニアにとって、2026年の投資戦略は「NISAという頑丈な器で世界の成長と配当を受け取りつつ、国債で守りを固め、余った時間と資金で人生を謳歌する」というシンプルなものです。
大きく勝とうとせず、納得できる形で資産を活かすことこそが、最も満足度の高い戦略と言えるでしょう。
爆発的な利益は出なくても、夜ぐっすり眠れる安心感があります。年金にプラスアルファの収入があれば、「今日より明日」が少し楽しくなる運用を目指せます。無理をせず、自分のペースで進めることが、2026年以降のシニア層に最もふさわしい姿です。
投資を「豪華客船の旅」に例えると、「株式」がエンジン、「国債や現金」が船体を安定させるバラストです。新NISAやプラチナNISAという「優待チケット」を活用し、AIという「優秀な航海士」の助言を得ながら、「豊かな老後」に向かって進みましょう。

シニア世代にとって、投資の損失は大きな痛手です。投資は自己責任であることを肝に銘じ、自分に合った投資戦略をしっかりと立てましょう。
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