シニア旅行(にっぽん丸クルーズ後編)

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揺れとの闘い、寄港地の癒やし、そして名船への別れ

前編では、株主優待を活用して「にっぽん丸」の旅を予約するまでの流れを軸に、船内で味わった美食の魅力、そして初日から直面した船酔いという“現実”まで、読者の期待感を高めつつ描いてきました。

シニア旅行(にっぽん丸クルーズ前編)
さようなら、にっぽん丸。初めてのクルーズで学んだこと、感じたこと。商船三井クルーズ株式会社のクルーズ船「にっぽん丸」は、2026年5月10日に横浜へ帰着するクルーズをもって引退することが決定しています。本記事は、初めての連泊クルーズ、そして...

後編となる本記事では、まず3日目に清水港へ入港し、ようやく陸に上がれたことで体も気持ちもふっと軽くなった瞬間をお伝えします。続いて、クルーズのハイライトとなった三保の松原での感動、そして旅の締めくくりを飾る 夜のディナー~食とワインのマリア―ジュ~ を中心に、船内で過ごした時間を詳しくご紹介します。

さらに最終日の4日目は、横浜ハンマーヘッドへ帰港し、下船後に桜木町駅まで満開の桜の中、想い出に浸りながら帰る様子をまとめます。

最後に、3泊4日の旅全体を振り返り、「引退を控えたにっぽん丸」に乗ったことが自分たちにとってどんな意味を持ったのかを、余韻を残しながら締めくくります。

安堵:清水への寄港と「陸」のありがたみ

予定していた寄港地・浜島には強風のため上陸できず、船内で過ごすしかありませんでした。景色は美しく、食事も豪華で、船旅としての魅力は確かにある。けれど「降りられない」という事実が、じわじわと心と体に重さを残していきました。

揺れる床を歩くたび、無意識に足に力が入り、眠りも浅くなる。気分もどこか落ち着かないまま、次の寄港地を迎えました。

そして清水に入港し、タラップを降りて地面に足を下ろした瞬間、身体の奥からふっと力が抜けました。揺れない床を踏みしめられることが、これほどありがたいとは思いませんでした。足裏に伝わる「動かない感触」は、まさに安心そのもの。思わず深呼吸したくなります。

潮の匂いを含んだ空気は澄んでいて、船内とはまったく違う温度と湿り気が肌に触れました。「外」に出られた。それだけで胸のつかえが取れ、気持ちが一気に晴れていくのが分かりました。

清水港から望む富士山は、絵に描いたように端正な姿で、遠くにありながら圧倒的な存在感を放っていました。波の上で揺れに耐え、寝不足と船酔いで消耗していた心身が、その一枚の景色によって静かに整っていくようでした。

少し胃を休ませ、陸の空気を吸い、安定した場所に立っているだけで、体調がみるみる回復していく。豪華さとは別の次元で、「陸に降りられること」そのものが、何よりのご褒美でした。

3日目:4月3日(金)☀晴

清水港に入港すると、空は明るさを取り戻し、胸の緊張がふっとほどけました。防波堤に守られた穏やかな海と、潮の匂いを含む冷たい風に触れ、「ようやく陸に近づいた」と実感すると、気持ちも自然と上向きます。海を渡ってきたからこそ、「対岸」の陸がひときわ特別に見えました。

上々の気分でにっぽん丸を下船し、清水の地に降り立ちました。この日は朝から快晴で、見事な富士山が出迎えてくれましたね。

三保の松原 〜観光のハイライト〜

この日は三保の松原を観光することにしました。オプショナルツアーもありましたが、ゆっくり散策したかったため、路線バスで向かうことにしました。

概 要

三保の松原(みほのまつばら)は、静岡県静岡市の三保半島にある、日本を代表する景勝地です。約7kmの海岸線に約3万本の松林が続き、青い海と打ち寄せる白波、そして駿河湾越しに雄大な富士山を望む絶景で知られています。

古くから和歌や浮世絵の題材となり、天女が舞い降りたという「羽衣伝説」の舞台としても有名です。2013年には、富士山世界文化遺産の構成資産の一つとしてユネスコに登録されました。

世界文化遺産の申請では、「三保の松原」ではなく「三保松原」として申請したため、公式名称は「三保松原」とされています。

魅力・見どころ

今回は、三保松原入口バス停から、縁結びやパワースポットとして知られる御穂(みほ)神社へ向かい、そこから樹齢数百年の松並木が続く木道「神の道」を歩くルートにしました。

三保の松原の最大の魅力は、青い駿河湾、緑の松林、そして雄大な富士山が織りなす絵画のような絶景です。約7kmの海岸には約3万本の松が茂り、天女が舞い降りた伝説が残る「羽衣の松」は必見の見どころとなっています。

 

富士山と松並木の眺めや「羽衣の松」の静けさに加え、波の音と潮風を感じながら、世界遺産の風景をゆったりと堪能できますね。

三保の松原
三保の松原(静岡市)の魅力や見どころ・評判・地図・アクセス情報などを、三保松原の写真とコメントでご紹介する旅行・観光ガイド。静岡市観光で絶対に行きたい、SNSや口コミでも人気の三保の松原のおすすめポイントなど情報満載!

絶頂:食とワインのマリアージュ

船内での豪華な食事と、田崎真也氏監修のワインペアリングが見事に調和していました。この日は、各コース料理に合わせてワインが丁寧にペアリングされています。

主なメニューリスト

パテ・アンクルートにはロゼ・シャンパンからスタート。続いて、エスプーマには個性のある白ワイン、桜鯛とオマールのグリエにも白ワイン、そして牛サーロインのポアレには、ほのかに土の香りを感じる赤ワインが合わせられていました。

いずれも食材とワインの品質にこだわったフランスの名産地の逸品で、とても美味しかったです。

普段は健康に気を遣い、節制した食生活を心がけているからこそ、その美味しさには抗えませんでした。お酒は普段ほとんど飲まないのですが、ワインをゆっくり味わううちに、つい羽目を外して食べ過ぎてしまいましたね。

この日のディナーはまさに最高で、ワインと料理のペアリングの真髄を味わう夜となりました。

千住真理子 ヴァイオリン・リサイタル

国内外で活躍する日本屈指のヴァイオリニストです。幼少期から才能を発揮し、歌心あふれる端正な音色で幅広いレパートリーを築いてきました。2002年よりストラディヴァリウス「デュランティ」を愛用し、作品の背景まで伝わる表現で聴衆を魅了しています。

この日の演目は、バッハの「G線上のアリア」にはじまり、モーツァルトの「トルコ行進曲」、ドビュッシーの「月の光」などが続き、最後はリクエストに応えて「ふるさと」の演奏で締めくくられました。素晴らしいリサイタルでした。

この日は千住氏のお誕生日でもあり、観客みんなでハッピーバースデートゥーユーを歌って、誕生日をお祝いしました。

クルーズの最大の魅力は、「美味しいものを心ゆくまで味わう」ことです。ラウンジの雰囲気、生演奏、ベランダから眺める夜の海——クルーズの醍醐味を余すところなく味わった一夜でした。

なお、この日は、にっぽん丸が清水港を利用する最後の機会だったため、18時の出航時には盛大なセレモニーでお見送りいただきました。

4日目:4月4日(土)曇りのち雨

帰港はどんよりとした曇り空で、いまにも降り出しそうな空模様でした。けれども、なんだか「雨ではなく運がいい」と思うことにしました。下船の瞬間は少し複雑な気持ちで、「もう少しいたかった」という感覚が残ります

普段とは違う豪華な3泊4日の食生活で、体重は少しだけ増えたため、駅までの送迎バスもありますが、私たち夫婦は徒歩でゆっくり帰ることにしました。

ハンマーヘッドから馬車道を通って駅に向かう道中、ちょうど馬車道の桜が満開で、花見見物をしながら、にっぽん丸での想い出に浸りつつ楽しく歩けました。雨も今にも降りそうでしたが、桜を眺めている間は降られずに済みました。

今回のクルーズ観光は、三保の松原の神の道に始まり、横浜の馬車道で締めくくられました。ロマンあふれる行程と満開の桜が、旅の疲れを癒してくれました。

※ 以下のインフォグラフィックでは、このクルーズの全体像を表現してみました。

最後に:にっぽん丸の旅は正解?

結論として、この3泊4日の旅は「正解」でした。

豪華客船ならではの魅力――食事、サービス、空間づくり――は期待以上でした。毎食のディナーの質が高く、落ち着いた接客も心地よい感じです。引退間近のにっぽん丸には、品格とホスピタリティが確かに残っていました。

一方で、揺れによる睡眠不足や軽い船酔い、食べ過ぎによるだるさもありました。楽しむには体力だけでなく、揺れへの備え、睡眠、食事量といった「体調管理」も旅程の一部だと痛感しました。

それでも、寄港地で陸に降りた瞬間の安堵、富士山を目にしたときの解放感、船内での生演奏とディナーの余韻――これらはホテル滞在では得られない体験でした。大変さも含めて、「海の上で過ごす」という旅の本質を味わえたと思います。

次回もし乗るなら、揺れが強い日を想定した休み方と無理のない食事の組み立てを前提に、もう少し余白のある日程で臨みたいと思います。

ありがとう、にっぽん丸。2026年5月10日、本当にお疲れさまでした。

《 参考情報 》

船の最後の春:にっぽん丸 最後の航海
引退を控えた豪華客船「にっぽん丸」による3泊4日のクルーズ旅行を、詳細に記録したものです。寄港地である清水港での上陸体験、世界遺産・三保の松原の絶景、そして船内での美食とワインの調和など、旅のハイライトが情緒豊かに綴られています。著者は、船...
【乗船レポート】にっぽん丸2泊3日の旅に、親子3世代で出かけてみた | 旅して暮らすハンガリー
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にっぽん丸|客船紹介|クルーズ - 郵船トラベル株式会社
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