大阪城は、戦国時代に終止符を打ち、天下統一を果たした豊臣秀吉が築いた「夢の城」です。現在の天守閣は三代目ですが、その壮麗な姿は秀吉が望んだ華麗な桃山文化の象徴として、今も大阪のシンボルであり続けています。
秀吉が最初に築いた大阪城は、当時の技術と財力を結集した巨大な城郭でした。しかし「大坂夏の陣」で徳川家康に敗れ落城。その後、徳川幕府は豊臣家の痕跡を完全に消すように石垣と堀を積み直し、二代目の城を築きました。
現在の天守閣は昭和初期に市民の熱意と寄付によって再建されたもので、鉄骨鉄筋コンクリート造という近代工法を用いて、徳川時代の外観と豊臣時代の内装をイメージして設計されています。この再建の歴史そのものが、大阪市民の城への強い愛着を物語っています。

JR大阪環状線「大阪城公園駅」で下車すると、緑豊かな大阪城公園の入り口に出ます。広々とした公園を散策しながら歴史ある城郭へ向かいましょう。特に朝の時間帯は人も少なく、静かに城の風情を味わうのに最適です。
今回の記事では、万博帰りの3日目に訪れた大阪城の見どころと大阪城公園の魅力について、お伝えします。
大阪城の見どころ
大阪城は壮麗な天守閣と江戸時代から現代までの歴史が交差する建造物です。徳川家再建の巨大石垣、複雑な堀の構造、重要文化財の櫓など、400年以上前の戦国時代を感じさせる見どころが充実しています。公園内には四季折々の自然景観も楽しめ、歴史と自然が見事に調和しています。
天守閣(博物館)
天守閣は博物館として一般公開されており、地下から八階までの各階に異なるテーマの展示が設けられています。訪問者は大阪城と秀吉の歴史を立体的に体験できます。
- 一階(エントランス): 歴史資料展示とミュージアムショップがあり、入場チケットを購入する場所です。
- 二階: 大阪城の建築と城下町の発展、江戸時代の大坂文化を解説しています。タッチパネル式展示では知識をクイズ形式で楽しく学べます。
- 三・四階: 豊臣秀吉の生涯と桃山文化の美術工芸品を展示。特に黄金の茶室の復元模型は、金箔内装が見事に再現された必見の展示です。
- 五階: 「大坂夏の陣図屏風」をミニチュア人形とデジタル技術で再現した大規模ジオラマで、豊臣家と徳川家の決戦を視覚的に理解できます。
- 七階: 秀吉の農民から天下人への軌跡を、史料と高精細映像で紹介。秀吉の魅力と政治手腕について深く知ることができます。
- 八階(展望台): 地上約50mから大阪城公園の緑と大阪の都市景観を360度のパノラマで見渡せます。歴史と現代が交差する絶景で、晴天時には生駒山脈や明石海峡大橋まで望めます。

大阪城の真の迫力は、天守閣の美しさだけでなく、大きな金のしゃちほこに加え、それを支える巨大な石垣や堀のスケールにありますね。
巨石に込められた権力の象徴
大阪城の石垣は、徳川幕府が全国の大名に命じて築かせたもので、その大きさは権力の象徴でもありました。この石垣は日本最大の巨石建造物です。2025年オープンの「豊臣石垣館」では、城内中心部の石垣原石展示やガイダンスルームでその魅力を学べます。

- 蛸石(たこいし): 桜門枡形にある、表面積が約36畳にもなる日本最大級の巨石です。その表面の模様がタコの形に見えることから名付けられました。最大の「蛸石」は高さ約5.5m、幅約11.7m、重さ108トンもあり、そのスケールと技術力は圧巻です。
- 肥後石(ひごいし): 蛸石と並ぶ巨大な石で、加藤清正が運んだと伝えられています。これらの巨石を当時いかにして遠方から運び、正確に積み上げたのかという当時の土木技術の高さに驚かされます。
- 刻印石(こくいんいし): 大坂夏の陣の痕跡や「野面積み」技法が残り、豊臣・徳川両時代の築城技術の違いを間近に体感できます。

この施設は、今年オープンした大阪城の石垣に特化した施設です。天守閣の入場券で入館できますので、ぜひ立ち寄ってください。ここでは城内中心部の石垣を間近で見学することができます。
城郭の構造と重要文化財
城の防御機能としての石垣と堀の構造に注目すべき見どころがあります。
- 二重の防御線: 外堀と内堀の二重構造が城を鉄壁のように守っています。特に内堀の水堀とそれに連なる石垣の高さは圧倒的な迫力があります。
- 櫓(やぐら)群: 城内には防御用の重要建築物である櫓がいくつか現存しています。特に乾櫓(いぬいやぐら)、一番櫓、多聞櫓などは戦火を逃れた江戸時代初期の建築で、国の重要文化財に指定されています。櫓の内部は通常非公開ですが、外観からも歴史の重みを感じられます。
- 大手門: 徳川時代に再建された堂々とした大手門をくぐると、歴史の舞台へ足を踏み入れる高揚感を味わえます。

大阪城公園の自然
大阪城公園は、大阪城を取り囲む広大な敷地を持ち、歴史観光だけでなく、市民のレクリエーションの場として、また四季折々の自然を楽しむ都会のオアシスとして愛されています。
西の丸庭園の美と歴史
天守閣の西側に位置する西の丸庭園は、約6.5ヘクタールの広大な芝生公園です。庭園内には豊臣秀吉の妻ねねが住んでいたとされる屋敷跡があり、歴史的な雰囲気を感じられます。また、大阪迎賓館(かつての大阪市公館)もこの庭園内にあり、国内外の賓客を迎える重要な場として機能してきました。

西の丸庭園にはソメイヨシノを中心とした約300本の桜が植えられており、大阪随一の桜の名所として知られています。満開時の夜間ライトアップでは、幻想的な桜と白く輝く天守閣が織りなす息をのむような絶景を楽しめます。

当日はとても暑く、庭園を回るのもかなり疲れました。やはりこの庭園は桜の季節と夜景が素晴らしいので、その時期に訪れるのがベストだと思います。
ジョーテラス大阪と水上からの景観
JR大阪城公園駅や森ノ宮駅からすぐの場所にあるジョーテラス大阪(JO-TERRACE OSAKA)は、レストラン、カフェ、専門店が集まるエリアです。観光の起点や休憩場所として便利で、たこ焼きやお好み焼きなどの大阪グルメを気軽に楽しめます。

また、堀から大阪城を眺める御座船も魅力的です。船上から見上げる石垣と天守閣は地上からとは異なる迫力があり、船からでしか撮影できない美しい写真を収めることができます。

この御座船は、船頭の話がわかりやすくとても良かったのですが、船頭曰く乗客の大半が外国人のインバウンド客で占められているとのことでした。

おわりに
大阪城公園内には、大規模なライブやイベントが開催される大阪城ホールがあります。広大な太陽の広場では、地域の祭りやフリーマーケットなども開かれています。大阪城は歴史的建造物でありながら、文化やエンターテイメントの発信地としての役割も担っており、これが大阪城とその周辺の大きな魅力です。
大阪城周辺は、壮大な歴史、四季折々の美しい自然、現代的なグルメとエンターテイメントが見事に融合した多面的な魅力を持つ観光スポットです。時間をかけて隅々まで散策することで、その奥深さを心ゆくまで堪能できるでしょう。
大阪城は単なる歴史遺産ではなく、現代の市民の憩いの場であり、観光の中心地として息づいています。一日かけて巡ることで、その多彩な魅力をより深く体験できます。
今回のシニア旅行では、大阪・関西万博を中心に、最終日に訪れた大阪城をご紹介しました。万博では多くの日本人に出会えたのに対し、大阪城では圧倒的に外国人観光客が多い状況でした。


今後も円安が続く限り、インバウンド需要はさらに拡大していくことが予想されますね。
《 参考情報 》

