前回の国内パビリオン編では、午前中に訪れた「大阪ヘルスケアパビリオン」と「日本館」をご紹介しました。会場での貴重な体験や人気イベント、それぞれの特徴や見どころなど、実際に体験した情報をお届けしました。この記事を通して、万博の雰囲気や展示内容の素晴らしさを少しでも感じていただけたら幸いです。

本来であれば、午後からは「フランス館・ドイツ館・アメリカ館」のいずれかの先着順パビリオンに行く予定でした。しかし、想像以上の人気で、どのパビリオンも3時間以上の待ち時間が発生していました。
さらに、入場規制も実施されており、午後からの訪問では残念ながら入場できませんでした。これは万博の人気の高さを示す一方で、シニア層にとっては体力的な負担も考慮すべき点です。
今回の記事では、そのような状況の中でも2日目のお昼から実際に訪問できた海外パビリオンについて詳しくご紹介します。

各パビリオンの特徴や見どころ、展示内容など、写真と共にお届けしますね。万博訪問を計画されている方々の参考になれば幸いです。
実際に訪問した海外パビリオン
以下では、実際に入場できたパビリオンを時系列に沿って紹介します。
アラブ首長国連邦(12:00~12:10)
アラブ首長国連邦(UAE)パビリオンは、「大地から天空へ」をテーマに、伝統と未来を融合させた持続可能な建築が特徴です。約16メートルの椰子(やし)柱90本が並ぶ大空間は、デーツ椰子の農業廃材と日本の木工技術を組み合わせて造られ、自然との共生と革新を体現しています。
館内では、文化・宇宙開発・健康・サステナブル技術まで、UAEのダイナミックな物語を多感覚体験型のデジタル展示やワークショップで楽しめます。伝統工芸やエコグッズ、エミラティ料理も味わえ、多様な交流の場となっています。
マレーシア(12:20~12:35)
マレーシアパビリオンは「調和の未来を紡ぐ」をテーマに、約5,000本の竹をリボンのように編み上げた独特の外観が特徴です。隈研吾氏の設計で、マレーシアの伝統織物「ソンケット」の模様をイメージし、昼は柔らかな光を透かし、夜は金銀に輝く幻想的な姿を見せます。
館内は「文化」「進歩」「調和」「持続可能性」「誇りある人々」の6つのゾーンに分かれています。多民族国家マレーシアの多様な文化や経済発展、自然との共生を映像やモデル、インタラクティブ展示で体験できます。中心には高さ約10メートルの「調和の樹」があり、サステナブル素材で作られた葉と竹で編まれた幹が象徴的です。

マレーシア料理の屋台が再現され、グルメも楽しめます。伝統と最新技術が融合したアニメーションや若い世代向けのデジタル展示も充実しています。
昼食休憩(12:40~13:30)
お腹が空いたので大屋根リングで休憩しました。会場内には様々な飲食オプションがありましたが、手軽なハンバーガーを選択。開放的な空間では、他の来場者も思い思いに食事を楽しんでいました。

具材豊富な万博特別メニューを味わいながら、これまでの感想を共有し、午後の予定を再検討しました。
アゼルバイジャン(14:00~14:25)
アゼルバイジャンパビリオンは、「サステナビリティへの7つの懸け橋」をテーマに、7つのアーチ型構造で伝統と未来を融合した建築デザインが特徴です。アーチは古代から続く伝統建築の「シェベケ」という繊細なステンドグラス技法を現代風に再解釈し、昼は自然光、夜はライトアップで美しい光の演出を楽しめます。
館内では、アゼルバイジャンの文学者ニザーミー・ギャンジャヴィの叙事詩「七人の美女」にインスピレーションを得た7つの展示ゾーンが展開されています。各ゾーンでは自然環境の保護、伝統文化、多様な観光資源、先端技術の融合などが紹介され、映像やインタラクティブな演出で深く体感できます。

巨大アーチをくぐる体験や、光と音の演出は観客の感動を呼び、親日国「アゼルバイジャン」の多彩な魅力とサステナブルな未来へのビジョンをわかりやすく伝えていますね。

オマーン(14:40~15:05)
オマーンパビリオンは、「土地、水、人間性」をテーマに、自然と共生するオマーンの風土と文化を繊細に表現した館です。館内中央には大きなガラス天井があり、その下を伝統的な灌漑システム「ファラジュ」を表す水路が流れています。水路に沿った光の演出と透明なガラスと水のコラボレーションが幻想的な空間を創り出しています。

大型LEDスクリーンやデジタル技術によって、オマーンの歴史、自然、生態、文化を五感で体験できますね。
屋外には砂漠のオアシスをイメージした緑豊かな庭園やシャボン玉による癒しのゾーンが設けられ、訪問者にリラックスと安らぎを提供しています。館内のカフェも人気で、オマーン伝統のドリンクや軽食を楽しめるため、観覧の合間の休憩所としても重宝します。
このように、先端技術と伝統文化、自然美が融合したオマーンパビリオンは、来場者に深い感動と新たな発見をもたらしています
コモンズF(15:20~15:40)
コモンズF館は大阪・関西万博の隠れた名スポットで、3カ国(カザフスタン、アルメニア、ブルネイ)が一つの館に集まっています。場所は会場の奥まった「静けさの森ゾーン」にあり、派手さは控えめですが、その分落ち着いてじっくり展示が楽しめるのが特徴です。

カザフスタンの展示では、伝統的な移動式住居「ユルト」や最新の医療技術「ALEM」など本格的な内容が楽しめます。予約不要にもかかわらず人気があり、待ち時間ができることもあるほどです。アルメニアはICT教育や未来技術を紹介しており、親子連れにも特におすすめです。

コモンズF館はスタンプラリーの重要スポットでもあり、展示を楽しみながらスタンプを集められます。ゆったりと異文化体験をしたい方や、小さなお子様連れにも最適な、評判の高い穴場スポットです。
万博から得た強い印象
今回の万博で感じた印象について私見を述べたいと思います。個人的な観察に基づく内容ではありますが、万博会場の雰囲気や来場者の特徴について共有できればと思います。
- 当初はそれほど高くなかった関心が徐々に高まり、閉会に近づくにつれて入場者数が増加していること。これは「ラストチャンス効果」とも言えるもので、終わりが近づくと「見逃したくない」という心理が働いているようです。
- 外国人の数はそれほど多くなく、リピーターが非常に多かったこと。特に地元関西圏からの来場者が複数回訪れる傾向が顕著で、一度の訪問では見切れないパビリオンを計画的に回る方々が目立ちました。
- この残暑にもかかわらず、シニア世代が予想以上に多かったこと。特に平日の午前中は60代以上の方々が多く見られ、熱心にメモを取りながら展示を楽しむ姿が印象的でした。
- パビリオン巡りや大屋根リングでは、かなりの距離(2万歩以上)を歩くことになります。そのため、体力対策や暑さ対策が不可欠です。
- 事前予約が取れない場合は、これからの当日予約はさらに困難です。人気パビリオンへの入場は難しいと予想されるので、予約なしで入場可能なパビリオンやイベント、ショーなどを楽しむことをお勧めします。
最後に
パビリオン見学後、少し休憩してから夕日を眺めるために大屋根リングの最上階へ向かいました。夕日を楽しみにしていましたが、あいにく雲が多く、太陽が西に沈む瞬間は見られませんでした。それでも、雲の切れ間から覗く夕焼けは素晴らしい光景でした。
今回の万博では入念に事前準備をしたものの、予想外の入場者数の多さで、見たかったパビリオンの2割程度しか見学できませんでした。パビリオンを十分に楽しむには、開幕直後か5月のゴールデンウィーク明けが最適だったと実感しました。
9月中旬の連休直前に訪問しましたが、予想外の残暑と混雑で移動や待機が困難でした。シニア世代にとって長時間の列と暑さは想定以上の負担となりましたが、各国パビリオンの魅力的な展示と国際的な雰囲気に心から感動しました。この貴重な体験は、すべての苦労を忘れさせてくれるほど価値あるものでした。
万博は閉会まであと1か月を切り、入場予約が難しい中でパビリオン予約はさらに困難になっています。これから初めて訪れる方には、ナイトパスの利用をおすすめします。大屋根リングからの夕日や「アオと夜の虹のパレード」の素晴らしいショーだけでも十分な満足感が得られるでしょう。

9月からは土日や祝日に花火も開催され、さらに華やかさを増していますね。
シニア世代の皆様にとって、これは日本で開催される「最後の万博」になるかもしれません。ぜひ、この貴重で思い出に残る体験をしてみませんか。次回は、最終日に訪れた「大阪城」についてお届けします。
《 参考情報 》


