資金運用(2026年 新NISA改正編)

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全世代型への進化と柔軟な投資の実現

日本では「貯蓄から投資へ」の流れを促すためNISAが導入されました。近年は国民の資産運用ニーズの高まりに応じて、より使いやすく幅広い世代に開かれた制度への見直しが進んでいます。

この動きの一環として、金融庁は2026年度の税制改正でNISA制度のさらなる拡充・改良を「税制改正要望」として公表しました。新制度は「子ども(未成年)」から「高齢者」まで、幅広い世代が利用できる「全世代型」への拡大を目指しています。

2024年に始まった現行の「新NISA」は「神改正」と呼ばれましたが、株価の歴史的高騰やインフレの定着により、生涯非課税枠の実質的な目減りが懸念されています。これを防ぎ、国内投資をさらに加速させる制度設計が求められています。

現時点では検討段階ですが、人口減少が進む中、産業活性化につながる改正が求められていますね。

本記事では、2026年を視野に検討されているNISA(少額投資非課税制度)の拡充・改良案について、背景、主な特徴、実施時期、投資家への影響を分かりやすく解説します。

2026年改正案で検討されている主な内容・特徴

現在検討されている改正内容は、主に金融庁などの「使い勝手の改善要望」と、政府与党内での「枠の拡大と国内優遇策」という二つの柱があります。

年齢制限の撤廃と未成年への拡大(全世代対応)

これまでのNISAや現行の新NISAでは、つみたて投資枠・成長投資枠ともに18歳以上が対象でした。

2026年の改正では、つみたて投資枠に限り、18歳未満(子ども)でも利用可能にする案が浮上しています。かつて存在したジュニアNISAのような仕組みが、形を変えて再登場するイメージです。この要望は「こども家庭庁と金融庁の共通要望」として提出されており、子育て世代の資産形成支援が背景にあります。

親が子ども名義のNISA枠を使って、教育資金や将来の準備のために、早い時期から長期の資産形成を始められる可能性が出てきますね。

投資対象商品の拡充と多様化

現行の新NISAでは、投資信託や株式が主な対象です。2026年改正案では、債券ファンドなどを含む商品の拡充が検討されています。これにより、安定的な運用を重視する人向けに、リスクを抑えた債券中心のファンドなど、多様な選択肢が増える可能性があります。

さらに、NYダウやREIT指数に連動するインデックスファンド、暗号資産ETFなども選択肢に含める方向性が議論されています。インフレ耐性を意識した資産やオルタナティブ資産まで、ライフスタイルやリスク許容度に合わせて選べるようになります。

投資初心者やシニア世代でリスクを抑えたい人にとっても、柔軟な運用がしやすくなると見込まれています。

非課税枠の「当年中復活」(売却後の即時再利用)

現行制度では、非課税保有限度額(1,800万円)を使い切った後、資産を売却しても空いた枠を再利用できるのは「翌年以降」です。

2026年改正案では、枠の復活を「翌年」から「当年中」に変更する提案が出ています。相場変動に応じた調整や商品の乗り換えが、非課税枠内で即座に可能になります。投資経験者にとって、流動性と柔軟性が大幅に向上します。

生涯投資枠の大幅引き上げと「日本株優遇策」の導入

高市政権下で議論が加速している案として、生涯非課税保有限度額の大幅な引き上げが有力視されています。株価上昇と物価上昇を踏まえ、現行の1,800万円を2,000万円〜2,500万円程度へ引き上げる案が議論されています。富裕層予備軍の資金を少しでも多く市場に呼び込む狙いです。

加えて、高市総理の方針に基づき二つの案が検討中です。一つは成長投資枠(現行年240万円)の拡大。もう一つは国内株・国内企業投資信託購入時に非課税枠を追加付与する「国内株限定特別枠(ジャパン・クォータ)」の上乗せです。個人資金の海外流出を防ぎ、日本企業へ還流させる国家戦略といえます。

事務手続きの簡素化

金融庁の要望には、NISA口座開設後10年経過時などに金融機関が行う所在地確認の手続きの簡素化も含まれています。これは、利用者が書類のやり取りや確認作業の負担を減らし、長期保有が前提の新NISAにおいて、始めた後の「ほったらかし」運用にも取り組みやすくする狙いがあります。

実施時期とスケジュール

これらの改正は、現時点では「要望・検討段階」です。

想定されるスケジュールは以下の通りです。まず2025年12月中旬ごろ、与党税制改正大綱として具体的な変更内容が取りまとめられます。その後、2026年1月〜3月の通常国会で関連法案が審議・可決される見通しです。

多くの措置は2026年4月1日以降に施行・適用開始となる見込みです。ただし、生涯非課税枠の拡大など、暦年(1月〜12月)単位で管理される制度の変更については、システム改修の期間を考慮する必要があります。そのため、最短でも2027年1月からの適用となる可能性が高いと予測されています。

投資家への影響と今すべきこと

2026年以降の新NISAは、「より多くの人に、より柔軟に、非課税で投資をしてもらう」ための制度再設計です。年齢制限の撤廃や対象商品の多様化、枠の再利用可能性など、投資初心者から経験者まで、それぞれの目的やライフステージに応じた活用がしやすくなります。

特に大きなメリットがあるのは、子どもの将来のために資産形成したい家庭、途中で運用方針を変えたい人、そして国内株への投資を強化したい人です。

ただし、これらはあくまで「要望段階」であり、最終的な制度内容は国会審議や公式発表によって変更・縮小される可能性があります。また、対象商品が拡充されても、投資は「値動きがある資産運用」であることに変わりはなく、非課税の恩恵があっても元本割れリスクは存在します。

これらの内容を分かりやすくまとめた動画サイトは、以下のとおりです。ぜひご覧ください。

2026年NISA:次なる進化
この動画では、新NISA(少額投資非課税制度)のさらなる拡充案について解説しています。日経平均株価の高騰とインフレにより、非課税枠が実質的に目減りしている現状を受けた「サナエノミクス」の意向が反映された内容です。有力案として、生涯投資枠を2...

投資対象が多様化する分、リスクや手数料の確認が重要になり、商品選びの重要性はむしろ高まりますね。

おわりに

現時点でできる準備としては、「枠が増えるかもしれないから待つ」のではなく、現行制度の年間360万円の投資可能枠を着実に埋めていくことが最優先です。早く始めるほど、長期間にわたって複利効果を最大限に享受できるという投資の基本原則に忠実に従いましょう。

まだ証券口座を開設していない方は、2026年以降の新制度改正に備えて、早めに手続きを済ませておくことをお勧めします。

制度内容の詳細や対象商品のラインナップ、非課税枠の運用ルールなどの変更点については、政府や金融庁からの公式発表、金融機関からの情報提供に常に注意を払い、最新情報にアンテナを張り続けることが重要です。

2026年改正に向けた動きは、NISAが単なる個人投資家への税制優遇策にとどまらず、家計に蓄積された資産を活用して日本の産業や企業を育成・支援する国家戦略へと進化していることを示しています。

インフレが続く時代において、個人の大切な資産を目減りから守り、着実に増やしていくための「最強の盾」として、多くの専門家や政策担当者から期待されています。

なお、2026年度に導入が検討されている「仮称 プラチナNISA」は、65歳以上のシニア世代を対象とした制度です。毎月分配型投資信託への投資が可能になる見込みです。詳細は次回のブログでお伝えします。

《 参考情報

新NISAの改正・拡充ポイント|スイッチングや未成年NISAのメリットとは
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