雄大な自然と都会のオアシスを巡る旅
前回の記事では、埼玉県の紅葉名所から厳選した4つのスポットをご紹介しました。それぞれの特徴や見どころ、周辺の観光情報をお伝えしました。

今回紹介する東京都は世界有数の大都市でありながら、特に西部の奥多摩地域には豊かな自然が残されています。都心近郊の整備された公園と合わせ、ドライブで楽しめる紅葉の名所が点在しています。
本記事では、ドライブ旅行に最適な紅葉スポットをご紹介します。車窓からの景色を楽しめ、駐車場が完備され散策しやすい「奥多摩湖」「高尾山」に加え、「秋川渓谷」「国営昭和記念公園」「六義園」などを取り上げます。

東京の紅葉の見頃は例年11月中旬から12月上旬です。ただし、標高の高い奥多摩エリアでは10月下旬から色づき始めるため、比較的長い期間にわたって紅葉狩りを楽しめます。
奥多摩湖:雄大な山岳紅葉と絶景のワインディングロード
奥多摩湖は東京都西端に位置し、多摩川を堰き止めて造られた人造湖(小河内ダム)を中心とするエリアです。都内とは思えない雄大な自然と、湖面と周囲の深い山々が一体となって色づくダイナミックな紅葉が魅力です。

特徴と見どころ
標高が高いため、ブナ、カエデ、ミズナラなどが赤、黄、橙に鮮やかに色づきます。都内でも比較的早く、10月下旬から11月中旬に見頃を迎えます。
ドライブのハイライトは、奥多摩町と檜原村を結ぶ奥多摩周遊道路(旧・奥多摩有料道路)です。全長約19.7kmのワインディングロードは「走る絶景」とも呼ばれ、カーブを曲がるたびに紅葉に染まった山々や、眼下に広がる奥多摩湖のパノラマが楽しめます。
主要なビュースポットは以下の通りです。
- 月夜見第一駐車場:奥多摩湖と紅葉を一望できる絶好の休憩・撮影スポット。
- 湖畔の浮き橋(麦山の浮橋/ドラム缶橋):湖面越しに映る赤や黄色の森と、湖面に映り込む「逆さ紅葉」が楽しめます。
- ダム展望台・見はらしの丘:小河内ダムの堤体、湖、色づいた山々を一度に見渡せる鮮やかなパノラマが広がります。


奥多摩エリアは山間地のため日没が早く、早朝出発がおすすめです。ドライブと合わせて、鍾乳洞や温泉(もえぎの湯)、トレッキングコースなどの自然探索も楽しめますね。
高尾山:都心近郊の絶景と乗り物で楽しむ紅葉
高尾山は都心から車で約1時間とアクセスが良く、毎年約300万人が訪れる人気スポットです。ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三つ星を獲得した自然の宝庫で、秋にはイロハモミジやカエデ類が山全体を鮮やかなグラデーションに染め上げます。

特徴と見どころ
標高差があるため、山頂付近から麓まで比較的長い期間(11月中旬〜12月上旬)紅葉を楽しめます。
中央自動車道経由で高尾山ICを降りてすぐと便利ですが、紅葉シーズンの週末は早朝から駐車場が満車になるため注意が必要です。麓に車を停めた後は、ケーブルカーやリフトで紅葉を楽しめるのが魅力です。
- ケーブルカー・リフト:日本一の急勾配を登るケーブルカーでは、赤や黄に染まるモミジが密集した「紅葉のトンネル」をくぐり抜ける体験ができます。
- 高尾山薬王院:山中腹にある歴史ある寺院。朱色の建造物と真っ赤なモミジのコントラストが人気の撮影スポットです。
- もみじ台・山頂:山頂(標高599m)やもみじ台からは、紅葉越しに都心方面、天気が良ければ富士山を遠望できます。

裏高尾エリアの林道では紅葉のトンネルをくぐる感覚を味わえ、小仏川沿いの遊歩道では水辺に映る紅葉を楽しめます。紅葉狩りだけでなく、周辺には「とろろそば」などのグルメや「極楽湯」といった温泉施設も充実しており、ハイキングと合わせて満喫できます。

その他の魅力的な紅葉ドライブスポット
東京都内には、山岳地帯から整備された都心の庭園まで、目的や好みに応じて選べる多様な紅葉スポットがあります。
秋川渓谷:静寂な渓谷と紅葉の彩り
秋川渓谷は、東京都あきる野市に位置する渓谷です。多摩川最大の支流である秋川が作り出しました。渓谷沿いには遊歩道が整備され、ハイキングや川遊びが楽しめます。多くのバーベキュー場が集まるレジャースポットとしても人気です。
- 特徴:都心から約1時間とアクセスが良く、清流と深い緑、美しい山々に囲まれた豊かな自然を満喫できます。
- 見どころ:渓谷のシンボル的な吊り橋「石舟橋(いしぶねばし)」があります。橋の上からは四季折々の渓谷美、特に秋の紅葉が見事です。

日帰り温泉施設「秋川渓谷 瀬音の湯」もあり、ドライブや散策の疲れを癒すのに最適です。

国営昭和記念公園:黄金色のイチョウの絨毯
立川市・昭島市に位置する国営昭和記念公園は、東京ドーム約39個分の広大な敷地を持つ都会のオアシスです。山道の運転が苦手な方や、大規模な紅葉を気軽に楽しみたい方に最適です。

- 特徴:イチョウの黄葉とモミジの紅葉の両方を圧倒的なスケールで楽しめます。中央自動車道からアクセスしやすく、2,500台以上を収容する広大な駐車場も完備されています。
- 見どころ:「かたらいのイチョウ並木」(約200m)と「運動広場のイチョウ並木」(約300m)では、見頃(11月上旬〜下旬)に頭上の黄金色のトンネルと足元の黄色い絨毯が広がります。一方、日本庭園では黄金色のイチョウと対照的に、真っ赤に色づくモミジの風情ある景色を楽しめます。
六義園:都心の回遊式庭園とライトアップ
六義園(りくぎえん)は文京区にある紅葉の名園です。江戸時代の回遊式庭園の上品な紅葉風景が魅力です。
- 特徴:モミジやイチョウが庭園美と調和し、池に映る紅葉はまるで絵画のようです。
- 見どころ:特に「渡月橋」付近の景観が美しく、11月下旬から12月上旬にかけて夜間ライトアップも行われ、幻想的な紅葉が楽しめます。都心からアクセスしやすく、落ち着いた雰囲気を味わいたい方に最適です。
ドライブの計画と注意点
東京都内で紅葉ドライブを快適に楽しむには、混雑対策が欠かせません。
- 混雑回避:高尾山などの人気スポットは週末や祝日に特に混雑します。平日や早朝の訪問、または渋滞を避けた計画をお勧めします。
- 情報確認:紅葉の見頃は天候によって変わるため、訪問前に公式サイトや現地情報を確認しましょう。
- 時間管理:奥多摩や檜原村などの山間部は日没が早いため、早朝出発と余裕を持ったスケジュールが必要です。
これらの内容を分かりやすくまとめた動画サイトは、以下のとおりです。


どの場所も紅葉シーズンの週末は大変混雑します。特に奥多摩方面の青梅街道や高尾山周辺の中央道・国道20号線では激しい渋滞が予想されるため、時間に余裕を持った計画をお勧めします。
最後に
本記事で紹介した紅葉名所には、湖、渓谷、展望台などの自然景観に加え、地元の食事処、温泉施設、散策コースなど多様な魅力が揃っています。自動車なら公共交通機関では行きにくい場所にもアクセスでき、自由度の高い旅程が組めます。東京都内やその近郊の秋の風景を、心ゆくまで堪能できるでしょう。
特におすすめなのは、奥多摩湖、高尾山、秋川渓谷の3ヶ所です。紅葉の美しさはもちろん、湖や滝、渓谷、展望台といった多彩な絶景ポイントがあり、地域の飲食店、温泉施設、散策コースなど、さまざまな楽しみ方ができます。
紅葉ドライブの魅力は、日々移り変わる景色にあります。同じ場所でも、時間帯や天候が変われば、まったく違う表情を見せてくれます。自然の中を走り抜ける心地よさ、秋の澄んだ空気の清々しさ、赤や黄色に色づく木々の息をのむような美しさ——。

これらは、この季節だからこそ感じられる豊かな体験です。東京都内からのドライブという気軽な形で、ぜひ実際に訪れて味わってください。
《 参考情報 》




