資金運用(高市新総裁誕生編)

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高市早苗氏の自民党新総裁選出を受け、日本市場では「高市トレード(円安・株高・債券安)」と呼ばれる明確な反応が起きています。国内外の投資家の注目を集め、日経平均は一時4万8,000円台に到達し、東証プライム市場全体で買い意欲が拡大。同時に為替市場では円安が進行し、1ドル=150円台を突破しました。

債券市場にも変化が表れ、長期債利回りの上昇と国債価格の下落という、リフレーション期待を反映した動きとなっています。10年物国債の利回り変動は、YCC政策調整への市場の意識を示唆しています。

この市場反応の背景には、「サナエノミクス」とも呼ばれる高市氏の経済政策への期待感があります。「大胆な金融緩和の継続・強化」と「積極的な財政出動」を柱とする成長志向の政策が、投資家心理を好転させています。市場ではこれらの政策が日本経済の一層の成長軌道を促す触媒になるとの見方が広がっています。

「サナエノミクス」その手腕は 高市新総裁「何としても物価高対策」
経済政策はどう変わるのでしょうか?高市早苗氏の過去の書籍には「ニュー・アベノミクス」「サナエノミクス」の文字がありました。その内容とは…。

本記事では、高市政権の政策が金融市場に与える影響、年末までの日経平均・為替見通し、そして投資家が注意すべきリスク要因を考察します。

政策の柱と相場への影響要因

高市氏の経済政策は、物価安定目標(2%)達成まで金融緩和を継続する姿勢を日銀に求めています。さらに、プライマリーバランス黒字化目標を一時凍結しつつ、防災・減災、科学技術投資、経済安全保障強化などに大規模な国家予算を投入する考えに基づいています。

相場の方向性を左右する主な要因には、財政政策の拡張度合い、日銀の金融政策スタンス、為替・輸出競争力、物価・インフレ動向があります。また、米国金利や地政学リスクなどの外部ショックも重要です。

これら複数の要因が絡み合うことから、市場は単純な右肩上がりではなく、一時的な調整を伴いながら年末に向けて上昇トレンドを形成していくと思われます。

日経平均株価の展望

市場の期待先行により株価は大きく上昇しましたが、年末にかけては、主に以下の3つのシナリオが想定されています。

楽観シナリオ(株高持続)

財政刺激策が具体化し、公共投資や成長分野(半導体、再生可能エネルギー、防衛関連など)への支援が強化されれば、企業の需要期待と業績期待が拡大します。円安が輸出企業収益を押し上げる追い風も継続し、年末にかけて現在水準からさらに1〜2割程度の上昇余地を持つ可能性が示唆されています。

調整混じり・レンジ相場シナリオ

期待先行の上昇が一巡し、政策実行の不確実性や需給調整が意識される局面です。景気指標や企業決算が期待に追いつかない場合、調整圧力が生じやすく、特に国内消費の伸び悩みやコスト上昇圧力が内需株の弱さにつながる可能性があります。年末にかけては、上値と下値の幅を持ったレンジ相場になる可能性が高いと見られています。

逆風ドミナント(株調整リスク顕在化)

政策実行の遅れ、財政健全性への懸念、または金利上昇の重しが意識されるリスク優勢のシナリオです。国債利払い負担の膨張や世界的な景気減速が重なれば、調整を伴った下振れリスクも考慮する必要があります。

現在の主流見解 複数の証券会社やアナリストは、拡張的な財政と円安の恩恵により、年末にかけて日経平均は現在の高値水準から一段の上昇余地があり、4万7000円~4万9000円台に挑戦する可能性があると予想しています。

筆者の私見としては、世界景気の腰折れリスクや物価圧力を無視できないため、「調整を交えながら上昇レンジを探る強気ベース」が妥当であり、年末にかけて+5〜15%程度のレンジ上昇を想定しています。

高市氏が自民党初の女性総裁に選出されました。今後、国会での総理大臣首班指名を経れば、日本初の女性総理大臣が誕生します。政治主導による改革に期待せざるを得ませんね。

為替(ドル円)の展望

高市氏の金融緩和継続支持と、積極的な財政拡大が通貨価値を押し下げる懸念から、為替市場では円安圧力が続くと見られています。円安の主なメカニズムは、日本が低金利を維持する一方、米国が高金利を維持することで生じる「日米金利差」の拡大(または維持)です。

  • 円安傾向の継続: 日銀が緩和維持バイアスを持ち続ければ、円安が続く可能性が高く、特に150円台を下支えとしつつ、151〜153円あたりをトライする局面も想定されます。
  • レンジの予想: 年末までのレンジは、多くの市場関係者により145円~150円台での膠着状態、または150円~152円台を中心レンジとして推移する可能性が高いと考えられています。

ただし、急激な円安進行は消費物価を刺激し、日銀の金融政策を揺さぶるリスクがあります。また、円安が行き過ぎた場合、日銀・政府による介入や発言で抑制が図られる可能性も意識すべきです。

注意すべきリスク要因

市場が「期待先行」で動いているため、以下のリスク要因には細心の注意が必要です。

  1. 政策実行力・財政健全性懸念: 期待だけで終わり、政策が後手に回ったり、財政規律の緩みが顕在化したりすると、市場の信認低下を招く可能性があります。財政悪化懸念は、通貨としての円の信認を低下させ、円売りの材料となり得ます。
  2. 外部環境(米国金利・景気): 米国の利上げ持続、またはFRBの利下げ開始が予想以上に遅れる、もしくは米景気が急減速した場合、日本の株式市場も連れ安となる可能性があります。特に米国大統領選挙の結果も、世界経済の前提を覆す変動要因となり得ます。
  3. インフレ/円安の副作用: 過度な円安は輸入コストを上昇させ、企業収益や個人消費を圧迫するリスクがあります。物価の加速は日銀のスタンス変更(利上げ)圧力となり、相場モメンタム転換のサインとなるでしょう。
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モメンタム(momentum)は、テクニカル分析においては、相場の勢いや方向性を判断するオシレータ系指標の一つです。

最後に

高市新総裁の誕生は日本市場への追い風となり、アベノミクス初期のような熱狂再来により年末までの株価上昇が予想されます。現在、投資家心理が改善し、機関投資家の資金流入が活発化しています。

ただし、この熱狂は「期待」に基づいており、実際の政策実行には時間がかかります。財政規律の緩みは国債増発と金利上昇を招く恐れがあり、米中関係悪化や世界的景気後退のリスクも存在します。

特に円安進行は諸刃の剣であり、輸入物価上昇を通じて企業コスト増加や家計所得減少を引き起こし、日本経済の体力を奪う可能性がありますね。

年末に向けては、政策の実行可能性を冷静に見極めましょう。米国の金融政策や景気動向、インフレ状況、中国経済など海外経済ニュースに注意を払うことが重要です。短期トレンドに一喜一憂せず、この機会を長期的視点から資産配分を見直す好機としてください。

新政権の政策効果を見極めながら、米国の金融政策や経済指標、グローバル市場動向、インフレ動向に注目し、市場環境の変化に応じたポジション調整を行いましょう。リスク管理としてポートフォリオ分散と一定の現金比率確保も推奨します。

《 参考情報 》

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