ジュズサンゴは、愛らしい白い花と、それに続く鮮やかな赤い実のコントラストが魅力的な植物です。育てやすく長い観賞期間を持つため、ガーデニング初心者からベテランまで幅広く人気があります。
ジュズサンゴ(学名:Rivina humilis)は、ヤマゴボウ科リビナ属の非耐寒性常緑多年草(または亜低木)です。北米南部から南米の熱帯・亜熱帯地域が原産で、日本には大正時代初期に渡来したとされています。
草丈は30〜100cmほどに成長し、夏から秋(6〜10月頃)に開花し、秋から冬(8〜12月頃)にかけて実をつけます。寒さに弱いため、日本の温暖地以外では一年草として扱われることが多いですが、霜の心配がない暖地では地植えで冬越しし、多年草として楽しめます。

この植物は、こぼれ種だけでも容易に増殖する丈夫さを持ち、低温以外のさまざまな環境に適応できる強健な性質が特徴ですね。
この記事では、ジュズサンゴの基本情報から、その魅力、育て方のポイント、そしてさまざまな楽しみ方までを詳しく解説します。
「数珠珊瑚」という名前の由来
この植物の名前「ジュズサンゴ(数珠珊瑚)」には、その最も特徴的な姿が表現されています。
- 「数珠(ジュズ)」:白い小さな花の後にできる果実が、仏具の数珠のように房状に連なって実る様子から名付けられました。
- 「珊瑚(サンゴ)」:この連なった実の色が、海の珊瑚のように鮮やかで美しい赤色であることに由来します。
英語では「Rouge Plant(ルージュプラント)」や「Bloodberry(ブラッドベリー)」と、同じく赤い実を連想させる名前で呼ばれています。花言葉「移り気」は、実が白からピンク、そして赤へと色を変えていく様子に由来しています。
その魅力的な特徴
花と実を同時に長く楽しめる
ジュズサンゴの最大の魅力は、可憐な花と美しい実を同時に、そして長期間にわたって楽しめる点です。
- 花:6月頃から秋にかけて、白色や薄ピンク色の小さな花を房状に咲かせます。派手さはありませんが、その可憐な姿が人気です。
- 実:花の後に直径3~5mmほどの光沢のある液果をつけ、基本種は鮮やかな赤色に熟します。初夏から冬まで次々と色づき、長く観賞することができます。
この美しい実には毒があります。鑑賞用であり、有毒な成分を含むため絶対に食べてはいけません。小さなお子様やペットがいるご家庭では、誤って口にしないよう置き場所などに十分な注意が必要です。
優雅な草姿と涼しげな葉
ジュズサンゴは半つる性で、枝が横に広がりながらしなやかに垂れ下がる性質を持っています。そのため、鉢植えや特にハンギングバスケットで育てると、その優雅な草姿を最大限に活かすことができます。卵形をした濃い緑色の葉は、赤い実とのコントラストが美しく、涼しげな印象を与えます。

葉の色や形はハツユキカズラに似ており、特に新芽と成長期の色合いがそっくりです。ただし、実がつく時期になると、鮮やかな赤い実によって容易に見分けることができますね。
さまざまな園芸品種
基本種の赤い実に加え、近年では色違いの実や葉を楽しめるさまざまな園芸品種が流通しています。
- 黄実(キミ):実が熟しても黄色を保つ品種です。
- 白実(シロミ):実が乳白色のまま熟す品種で、「ジュズバニラ」とも呼ばれています。
- ピンク実:淡いピンク色の実をつける品種で、「桃玉」という別名もあります。
- 斑入り品種:葉に白や黄色の斑(ふ)が入る品種で、「絣(かすり)」という名でも販売されています。実がない時期でもリーフプランツとして楽しめます。

これらの品種を寄せ植えにすると、色の対比が美しく、より華やかな鉢植えに仕上がります。
育て方のポイント
ジュズサンゴは丈夫で初心者にも育てやすい植物です。以下のポイントを押さえることで、より豊かな花と実を楽しめます。
- 置き場所・日当たり:日当たりの良い場所を好みます。ただし、真夏の強い直射日光は葉焼けの原因になるため、夏場は風通しの良い半日陰へ移動させるのがおすすめです。
- 冬越し:寒さに弱いため、暖地以外では冬越し対策が必要です。鉢植えの場合は室内に取り込み、5℃以上を保つように管理します。
- 用土:水はけの良い土を好み、やや酸性の土壌で元気に育ちます。市販の草花用培養土やブルーベリー用の土が適しています。
- 水やり:鉢植えでは、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。特に生育期の夏は水切れしやすいので注意が必要です。
- 肥料:肥料は控えめで十分です。春と秋の成長期に緩効性肥料か薄めた液体肥料を少量与える程度でよく、与えすぎると花つきが悪くなります。
- 病害虫:病害虫には比較的強いですが、風通しが悪いとアブラムシなどが発生することがあります。定期的に株の様子を確認しましょう。
ジュズサンゴの楽しみ方
- 鉢植え・ハンギングバスケット:枝が垂れる性質を活かし、鉢やハンギングバスケットから実の房を垂らして飾るのが定番です。
- 寄せ植え:鮮やかな赤い実は秋の寄せ植えのアクセントにぴったりで、カラーリーフと組み合わせると一層華やかになります。
- 切り花・リース:実のついた枝は切り花として飾ったり、フラワーアレンジメントやリースの素材として活用したりできます。
- 地植え(暖地限定):暖地では庭に地植えすることで、こぼれ種から自然に増えていくナチュラルな景観を楽しめます。
下記に、この内容を分かりやすくまとめた動画を用意しています。ぜひご覧ください。
おわりに
ジュズサンゴは、房状に連なる赤い実を数珠や珊瑚に見立てて名づけられた熱帯性の観賞植物です。花・実・葉を同時に楽しめ、品種によって実や葉の色も異なり、多様なバリエーションを楽しめます。
ジュズサンゴは赤い数珠状の可愛い実と白い小花を長期間鑑賞でき、手間が少なく丈夫で栽培場所も広がる、園芸初心者にもおすすめの植物です。酸性土壌・日向~半日陰・水切れに注意しながら管理し、寄せ植えやリース、ハンギングなどでその柔らかな姿と鮮やかな実のコントラストをさまざまに楽しむことができます。

育て方は比較的簡単で、日当たり・水はけの良い環境を確保すれば初心者でも栽培可能です。寒さに弱いため冬は室内管理がポイントですが、適切な条件で管理すれば翌年も楽しめますね。
ジュズサンゴは観葉植物として室内を彩るだけでなく、寄せ植えや切り枝、インテリアとしても活用でき、暮らしに四季の彩りを添えてくれます。特にシニア世代や初心者ガーデナーにもぴったりの植物といえるでしょう。
何よりも育てやすく、その愛らしい実が長く楽しめるのがジュズサンゴの魅力です。秋のガーデニングや室内装飾に、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
《 参考情報 》


