健康生活ガイド(夏風邪編)

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夏風邪は、コクサッキーウイルスやRSウイルスなど様々な種類のウイルスによって感染することが広く知られています。一般的に短期間で回復することが多いですが、特に高齢者においては症状が長期化したり、肺炎などの重篤な合併症を引き起こす危険性が高まります。

ヘルパンギーナとRSウイルス|大和高田市
ヘルパンギーナとRSウイルスが流行しています。乳幼児を中心に、夏に流行する「ヘルパンギーナ」と秋から冬にかけて流行する「RSウイルス感染症」の流行が拡大しています。ヘルパンギーナとは症状コクサッキーウイルスおよびエンテロウイルスを原因とする...

基礎疾患あるシニア世代や免疫機能の低下している高齢者は特に注意が必要です。

近年の猛暑が続く気候において、高齢者が特に警戒すべき夏風邪として、ヘルパンギーナRSウイルス感染症が挙げられます。これらの感染症は一般的に幼児や小児に多く見られる病気というイメージがありますが、高齢者が罹患した場合、免疫力の低下や基礎疾患の存在により症状が重症化するリスクが著しく高まります。そのため、高齢者とその家族は特別な注意を払う必要があるのです。

本記事では、これらの代表的な夏風邪の臨床的特徴や効果的な予防法、そして科学的根拠に基づいた治療法と日常生活における実践的な対策について詳しく解説します。正しい知識を身につけることで、夏季の健康管理に役立てていただければ幸いです。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは夏風邪の一種で、主にコクサッキーウイルスA群が原因です。高温多湿の夏季に流行のピークを迎え、通常は5歳以下の小児に多く見られますが、高齢者も免疫力の低下により感染リスクがあります。

ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナについて紹介します。

特徴

  • 突然の高熱: 38〜40℃の高熱が突然現れることが多く、通常2〜4日で治まります。
  • 喉の痛みと水ぶくれ: 喉の奥(軟口蓋や口蓋弓)に1〜5mm程度の赤い発疹や水ぶくれができ、強い痛みを伴います。この痛みにより、食事や水分摂取が困難になることがあります。
  • 全身のだるさ・頭痛・関節痛・筋肉痛: 高齢者は子どもよりもこれらの全身症状が強く現れやすく、回復にも時間がかかる傾向があります。
  • 脱水症: 喉の痛みによる飲食困難から脱水症状を起こすことがあります。
  • まれな合併症: 無菌性髄膜炎や心筋炎などの重篤な合併症が稀に発生することがあります。

予防法

  • 手洗い・うがいの徹底: ウイルスは飛沫感染、接触感染、糞口感染(便中のウイルスが口に入ること)で広がります。外出後、食事前、トイレ後は石鹸での丁寧な手洗いを心がけましょう。
  • 飛沫感染対策: 咳エチケットを守り、マスクを着用しましょう。特に感染者との接触時はマスクが効果的です。
  • タオルの共用を避ける: 家庭内でもタオルの共用は避けましょう。
  • 環境消毒: ドアノブや手すりなど、よく触れる場所をこまめに消毒しましょう。

治療法と対策

  • 特効薬はありません: ヘルパンギーナに対する特定の抗ウイルス薬はなく、対症療法が中心となります。
  • 水分補給: 脱水予防のため、喉への刺激が少なく口当たりの良い水分(水、麦茶、経口補水液、冷めたスープ、ゼリーなど)をこまめに摂ることが最も重要です。
  • 食事の工夫: 喉への刺激が少ない柔らかく薄味の食事を中心に摂りましょう。プリンやゼリーも適しています。
  • 解熱鎮痛剤: 発熱や喉の痛みがつらい場合は、医師の指示に従って解熱鎮痛剤を使用することがあります。
  • 安静: 十分な休養を取り、体力回復に努めましょう。

高熱が続く、水分が摂れない、頭痛がひどい、意識が変わるなど、普段と異なる症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

RSウイルス感染症

このウイルスは高齢者の免疫システムに特に危険であり、心臓病、肺疾患、糖尿病などの基礎疾患がある方は、初期症状から急速に肺炎などの合併症へと進行し、入院や集中治療が必要なほど重症化するリスクが高まります。

RSウイルス感染症
RSウイルス感染症について主な症状、感染経路、治療方法、発生状況、予防と対策などの基本情報をお伝えしています。

特徴

  • 風邪に似た症状: 発熱、鼻水、咳、喉の痛みなど、一般的な風邪のような症状から始まります。
  • 呼吸器症状の悪化: 重症化すると、咳や痰が増え、呼吸困難や喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)などの下気道症状が現れ、肺炎を引き起こすことがあります。
  • 基礎疾患のある高齢者のリスク: 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性心不全、糖尿病、腎臓病などの持病がある高齢者は重症化しやすく、入院や死亡のリスクも高まります。
  • 診断の難しさ: 高齢者では、RSウイルス感染症に特有の症状が現れにくいため、診断が困難な場合があります。

予防法

  • 手洗い・うがいの徹底: このウイルスは飛沫感染や接触感染で広がるため、手洗い・うがいが基本的な予防策です。
  • 飛沫感染対策: 咳エチケットを守り、マスクを着用しましょう。症状のある人との接触は避けるか、接触時はマスクを着用してください。
  • 接触感染対策: ドアノブや手すりなど、多くの人が触れる場所は定期的に消毒しましょう。
  • ワクチン接種:
    • 2023年以降、日本でも60歳以上の成人を対象としたRSウイルスワクチンが承認され、接種が可能になりました。
    • 重症化リスクの高い方(基礎疾患がある方、施設入居者など)は、ワクチン接種を検討することを強く推奨します。ワクチンは任意接種で費用がかかりますが、重症化予防に高い効果が報告されています。

治療法と対策

  • 特異的な治療薬はありません: RSウイルス感染症に特化した抗ウイルス薬は現在ありません。症状に応じた対症療法が中心です。
  • 安静と水分補給: 十分な休養とこまめな水分補給で、体力の回復を促しましょう。
  • 呼吸器症状への対応: 咳や痰が多い場合は、痰を出しやすくする薬や気管支を広げる薬が処方されることがあります。
  • 重症化した場合の対応: 呼吸困難が重い場合は、酸素吸入や点滴、状況によっては人工呼吸器による呼吸管理が必要になることがあります。
  • 基礎疾患の管理: 持病が悪化しないよう、かかりつけ医と連携し、日頃から基礎疾患の管理を徹底しましょう。

おわりに

ヘルパンギーナとRSウイルス感染症は夏季に流行し、高齢者に重大な健康リスクをもたらします。免疫機能低下により重篤化・合併症リスクが高まるため、特に孫からの感染に注意し、基本的な感染対策を徹底してください。シニア世代は夏季にこれらのウイルスによる重症化リスクが高いため、感染予防と体調管理が重要です。

持病のある方は、より慎重な健康管理を心がけましょう。

RSウイルスに対しては近年、高齢者向けワクチンが導入されました。このワクチンは重症化予防に効果的で、特に基礎疾患がある方や集団生活をされている方は、医師と相談の上、接種を検討してください。これは個人の健康維持と社会全体の感染拡大防止に貢献します。

両感染症とも、「強い症状」「長期間改善しない症状」「食事・水分摂取困難」「意識混濁・呼吸困難」などの警告サインが現れたら、速やかに医療機関を受診してください。早期治療が重症化予防と早期回復の鍵となります。

予防の基本は「こまめな手洗い」「適切な水分・塩分補給」「人混みの回避」です。シニア世代は軽症でも急速に症状が悪化する可能性があるため、体調の変化を注意深く観察し、異変を感じたら早めに受診しましょう。適切な予防と早期対応が健やかな夏を過ごすための重要なポイントです。

《 参考情報

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