庭づくり(デルフィ・ブルー編)

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以前のブログで紫と白のデルフィニウムを紹介しましたが、今回は庭で最盛期を迎えているエラータム系の青色デルフィニウム(デルフィ・ブルー)について詳しくご紹介します。この優雅な花は、端正な姿と爽やかな色合いで多くの園芸愛好家を魅了しています。

デルフィニウムは、初夏に青や紫、ピンク、白などの華やかな花穂を咲かせるキンポウゲ科の植物で、和名は「オオヒエンソウ(大飛燕草)」と呼ばれます。冷涼な気候を好むため、日本では高温多湿の夏を越せず一年草として扱われることが多いですが、寒冷地では多年草として育てられることもあります。

私の庭ではこの花は夏を越すことができないため、一年草として育てることにしています。

本記事では、デルフィニウムの種類と特徴、そして育て方や楽しみ方について詳しく解説します。

デルフィニウムの種類と特徴

デルフィニウムは、キンポウゲ科デルフィニウム属の多年草(日本では夏越しが難しいため一年草として扱われることが多い)です。草丈が高く、すらっと伸びた花穂に多数の花を咲かせる姿が特徴的で、花色は青、紫、ピンク、白など豊富です。

大きく分けて以下の系統があります。

エラータム系

草丈は1~2mにもなる大型種で、大輪の花が穂状に密に咲きます。長い花穂が直立し、八重咲きの豪華な花を咲かせます。豪華で見ごたえがあり、ボーダーガーデンなどでよく利用されます。「パシフィックジャイアント」シリーズや「オーロラ」シリーズなどが代表的です。

デルフィニウム(エラータム系)の特徴や育て方、増やし方等の紹介

ベラドンナ系

エラータム系とシネンシス系の中間的な性質を持ち、細い茎から枝分かれし、一重の花をまばらに咲かせます。澄んだ水色や白花が多く、風に揺れる姿が優雅です。比較的耐暑性があり、夏越ししやすい品種もあります。

デルフィニウム(ベラドンナ系)の特徴や育て方、増やし方等の紹介

シネンシス系

草丈は60~80cmほどの小型比較的低く、茎が枝分かれしてその先に一重の花を咲かせます。距(きょ)がないのが特徴です。鮮やかな水色の花の「チアブルー」や濃いブルーの花の「ミストラル」シリーズなどがあります。ナチュラルガーデンやコテージガーデンに向いています。

デルフィニウム・シネンシス|園芸植物小百科|育て方|花の写真
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その他にも、矮性種や八重咲き、一重咲きなど、様々な園芸品種がありますね。

デルフィニウムの育て方

私の庭に咲くデルフィニウム・エラータム系(デルフィ・ブルー)は、鮮やかな青色をした魅力的な花です。鉢植えで以下のように育てています。

栽培環境

  • 日当たり: 日当たりと風通しの良い場所を好みます。日照不足になると徒長しやすくなります。
  • 水はけ: 水はけの良い土壌を好みます。過湿に弱いので、水はけの悪い場所では高植えにするなどの対策が必要です。
  • 高温多湿: 高温多湿を嫌います。夏は風通しの良い半日陰で管理すると良いでしょう。

水やり

  • 庭植え: 植え付け時にたっぷりと水を与えた後は、基本的に自然の雨に任せます。乾燥が続くようなら水やりをしてください。
  • 鉢植え: 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。

肥料

  • 元肥: 植え付け時に緩効性化成肥料などを土に混ぜ込んでおきます。
  • 追肥: 生育期の春と秋に、液体肥料や緩効性化成肥料を施します。

病害虫

  • 病気: うどんこ病や立枯病に注意が必要です。風通しを良くし、水はけの良い土壌で栽培することで予防します。発生した場合は、適切な薬剤で防除します。
  • 害虫: ヨトウムシやナメクジなどが葉や花を食害することがあります。見つけ次第駆除します。

植え付け・植え替え

  • 植え付け: 秋または春に行います。株間は、エラータム系で30cm程度、シネンシス系で20cm程度が目安です。
  • 植え替え: 鉢植えの場合にも同様に、秋に新しい苗に植え替えます。

その他

  • 支柱立て: 草丈が高くなる品種は、必要に応じ花穂が伸びてきたら支柱を立てて倒伏を防ぎます。
  • 花がら摘み: 花が終わったら、早めに花がらを摘み取ることで、病気の予防や株の消耗を防ぎます。
  • 夏越し: 暖地では夏越しが難しいため、一年草として扱われることが多いですが、涼しい地域では、花後に切り戻し、風通しの良い半日陰で水やりを控えめに管理することで夏越しできる場合があります。
  • 種まき: 種から育てる場合は、秋まき(温暖地)または春まき(寒冷地)で行います。デルフィニウムの種は暗発芽種子なので、しっかりと覆土します。

私の場合は、種からではなく苗木を購入して、鉢植えでデルフィニウムを育てています。ブルー系の花が好みなので、どうしても多くなりますね。

デルフィニウムの楽しみ方

切り花

新鮮な状態で楽しむには、茎を斜めに切り、水に浸かる部分の葉を丁寧に取り除きます。花瓶に活けた後は、直射日光を避け、エアコンの風が当たらない涼しい場所に置くことで、長く美しい姿を保てます。

ドライフラワー

花穂が完全に開ききる前に収穫し、風通しの良い日陰で逆さに吊るして自然乾燥させます。乾燥後も美しい青や紫の色合いが残り、長期保存が可能です。アレンジメントやリースの素材として活用できます。

おわりに

デルフィニウムは、端正な花姿と豊かな色合いで、庭園に優雅さと活気をもたらす素晴らしい花です。背の高い花茎と密集した花々が織りなす姿は、空へ向かって伸びる美しい塔のようです。ぜひ、ご自身の庭の環境や好みに合わせて、理想的な品種を見つけてください。

デルフィニウムは印象的な姿と多彩な色で、庭のアクセントとして人気があります。ただし、日本の蒸し暑い夏には特別な管理が必要です。最近は「サマースカイ」などの耐暑性品種も登場し、比較的夏越しが容易になりました。

来年は、ぜひ夏越しが期待できる「サマースイカ」に挑戦してみたいと考えています。あなたも初夏の庭に爽やかな彩りを添えてみませんか。

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日本の気候では夏越しが難しく、一年草として扱われることが多いですが、日陰を活用した栽培場所の工夫や、適切な水管理、暑さ対策を実践することで、より長く美しい花を楽しめます。また、季節ごとの丁寧な手入れを通じて、園芸の奥深さと喜びを実感できる植物です。

《 参考情報 》

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